今年はどうなるかを予測する上で、昨年、『2018年流通はどうなる? どう変わる? そして未来を考える』で、予測したことを振り返り、反省しながら考えてみた。

〈価格競争〉増税のタイミングで激化するか

『一部で値上げが行われているが、需給ギャップは埋まらず、あらゆる業種・業態で出店過剰の中、価格競争はますます激しくなるだろう』

 この予測はある意味そうなったが、ある意味そうはならなかった。EDLPでなくなるといわれたスーパーマーケット(SM)の折り込みチラシは相変わらずで、低価格を訴求し、5倍、10倍のポイント付与も盛んだった。その一方で、大手メーカーを中心に原料費や物流費、人件費などのコストアップを理由に実質的な値上げ(価格を据え置きながら容量を減らす)をするなど、価格自体は下げ止まり感が見えてきた。

 今年は、日本コカ・コーラ、明治、ロッテ、東洋水産、ニチレイフーズなどが昨年と同じ理由で、春から値上げを予定しており、アイスクリーム、菓子、飲料、麺類、冷凍食品などが値上がりする。

 今後はメーカーサイドの値上げの動きが中小にも波及するかがポイントとなるが、競争環境を考えると難しい面もあり、一部では体力のない中小メーカーの倒産にもつながっていく可能性もある。

 メーカーの値上げ攻勢を受けて、SMはどのような動きを見せるのか、人件費や物流費のコストアップは小売りも同じで、値上げ分を吸収する余力はなく、売価は上がるだろう。だが、10月に消費税率の2%引き上げが予定され、消費者マインドは落ち込むので、その時点で価格攻勢に打って出ることも十分予想される。

 ただ、世界経済は米中経済摩擦やEUからの英国離脱という大きな懸念材料を抱えており、今後の日本経済の動向や7月の参議院選挙の結果次第では増税の見送りも考えられる。

 増税は駆け込み需要とその反動を引き起こすが、ならせば変わらない。消費税率がいよいよ10%の大台に乗ることから、消費者意識に対する影響を「今までとは違う」と懸念する向きもあるが、一時的には落ち込むが、食品の軽減税率の適用もありそう心配することはないと思う。

 今のままの財政状況では今後も消費税が上がっていくことは確実で、いずれ欧州並みの20%台になるだろう。小売業界の増税反対の機運も前回の増税時より下がっており、「消費税増税当たり前時代」を冷静に受け止めて対処することが求められる。

 今回も増税の際に予定されているポイント還元などの場当たりな消費落ち込み対策ではなく、政府も根本的な所得格差の解消を考えるべきである。景気は戦後最長の好景気を持続しているが、企業は潤えど、一部を除いて個人の懐は一向に豊かにならない。個人所得の増加に向けた対策と所得格差の解消が喫緊の課題である。