「カテゴリーマネジメントがよく分からない」というチェーンストアの人は多いのですが、それには2つの理由がありました。

 カテゴリーマネジメントは米国から輸入された経営技術です。チェーンストアの人からこの「カテゴリーマネジメントがよく分からない」と聞くことがあるので、今日はこの理由をお話しようと思います。

そもそもの主語はメーカー・卸だった

 そもそもカテゴリーマネジメントはECR(Efficient Consumer Response)の技術の一部として日本に紹介されました。今でいうサプライチェーンマネジメントの原型です。生産、物流、小売りを一気通貫でマネジメントすることで、メーカー、卸、小売り、そして消費者がウィンウィンの関係を構築しようとするものです。

 このECRのCがConsumer(消費者)で、Customer(顧客)でないところがミソ。メーカー・卸の顧客は小売りで、メーカーとしては小売りだけでなく、消費者まで見据えて活動すべきだという考えから、これはきています(小売りにとっては、消費者が顧客であることは当たり前ですね)。

 ECRにおけるカテゴリーマネジメント活動の主語はメーカー・卸。メーカー・卸がどのように活動するかを提案しています。そのため、英語を日本語に翻訳したカテゴリーマネジメントの本を読んだチェーンストアマンは混乱するのです。チェーンストアの人は小売りを主語として読もうとしますが、本はメーカー・卸しを主語としているからです。

 例えば、翻訳本では『カテゴリーマネジャー』になることを提案しています。その内容は自社の取り扱い製品のみをマネジメントするのではなく、自社の取り扱い製品が属するカテゴリーまで対象を広げてマネジメントすることを要求するもの。具体的には自社の取り扱い製品の棚割り提案だけでなく、カテゴリー全体の棚割り提案をすることですが、これは小売りにとっては当り前のことで「意味が不明」となってしまうのです。

 また、実態把握、目標設定の指標として『ストアカバリッジ』を提案しています。この指標は自社製品の売場でのフェース占有率のこと。これもメーカーにとっては重要な指標ですが、小売りにとっては意味がありません。

 このように「翻訳されたカテゴリーマネジメント」は主語がメーカーであることを認識して理解する必要があるのです。チェーンストアの人はこのことを理解して、翻訳されたカテゴリーマネジメントを勉強しなくてはならないわけです。

単品管理の反省からきたものもある

 一方、ECRを全く意識しないでカテゴリーマネジメントの言葉を使用するチェーンストアマンがいます。

 彼らは一世を風靡した単品管理の反省からカテゴリーマネジメントの言葉を使っています。

 単品管理を簡単にいえば「単品単位での問題解決」です。そのプロセスは正しく、チェーンストアマンは異論がないのですが、『そのプロセスを全ての単品でやるのか?』という疑問がありました。また、『できる単品数が限られている。全体への影響は?』という疑問もあります。

 このような反省から、単品管理ではなく、カテゴリー単位でマネジメントすることを意識し、カテゴリーマネジメントの言葉を使用します。

 だから、ECRを意識しているメーカーの人がチェーンストアマンからこの単品管理の反省からくるカテゴリーマネジメントを聞くと意思疎通ができなくなってしまいます。

 日本のカテゴリーマネジメントには、『ECRの流れからくるカテゴリーマネジメント』と『単品管理の反省からくるカテゴリーマネジメント』の2つあることを理解しなくてはならないのです。