ZOZOの迷走が出店者の離反を招く

 オンワードに限らず、自社運営する(外部運営委託でない)ECを確立して一定規模に達したアパレル企業にとってZOZOは必要不可欠な存在とはいえなくなっている。

 多数の会員を獲得して売上規模も大きくなり自社ECの運営コストの方がZOZOの手数料より低くなれば、ZOZOに依存する必要は薄れる。ECの参入段階ではZOZOの集客が不可欠でも、多数の会員を獲得し新規獲得の仕組みも備われば依存度が薄れるし、自社ECの売上規模拡大に伴うコストダウンは実店舗の多店舗展開とは異次元に加速度的だ。

 そんなアパレル企業でも売上げの拡大や動きの鈍い商品の売り切りにはソゾタウンを活用しているが(アウトレットと割り切るアパレルも少なくない)、ウェブルーミングやショールーミング、C&Cなど店舗とECの連携を進めていけばZOZOとの縁も切れていく。そんな出店アパレルの進化に取り残されないようZOZOが直接顧客たる出店者の利便と利益を一番に考えて投資を集中していたなら、出店アパレルの離反は招かなかったはずだ。

 しかし、現実にはZOZOは高成長と高収益がもたらす巨大なキャッシュフローを他の目的に費やしてきた。目先の成長率維持のため後先考えず、クーポン発行をあおり、「ツケ払い」や今回の「ZOZOARIGATO」を断行して運営経費率を肥大させ、収益力を維持すべく新規出店者の手数料率をかさ上げ続け、ゾゾタウンの顧客層やイメージを危うくする低価格ブランドや量販チェーンまで広げてしまった。加えて18年に入って以降、2段階に渡る未完成なゾゾスーツとそれに基づく未完成な生産システムのパーソナルPBに膨大な投資を注ぎ込み、企業総体の収益力まで削いでしまった。

ZOZO離れは広がるのか

 私は幾度も『プラットフォーマーはプラットフォームの競争力向上に注力すべきでコンテンツに入れ込むべきでない』『精度の疑わしいゾゾスーツよりリアルなTBPP』と提じてきたが、前澤氏には届かなかった。この間もアマゾンが顧客利便はもちろん出品者利便を高める投資に注力して競争力を高めてきたことを思えば、ZOZOの失ったものはあまりに大きいのではないか。

 オンワードに続いてZOZO離れするアパレルが広がるのかどうか、それは今後のZOZOの経営政策によるだろう。過ちを反省して出店者の利便と利益を最優先する政策に転ずるか、はたまたPBの開発と生産体制確立に膨大な投資を注ぎ、販売手数料率をかさ上げ続けるのか、どちらに進むかで出店アパレルの腹も決まるのではないか。