1月2日、青空の仙台は江戸時代から続く伝統行事の「初売り」で賑わっていた。太鼓の演奏、甘酒や日本茶を振舞う店、名物の茶箱をはじめ、商店街や百貨店、スーパーマーケット(SM)では福袋が店頭に並び、仙台駅から続く通りは大勢の人たちであふれていた。

 

 こうした光景を見ていて、「モノを買うことはシチュエーション次第では心をワクワクさせる振舞いであり、今風にいえば『コト消費』だ」と改めて思い起こした。

 ただ、このワクワクはリアル店舗でしか体験できないものではない。中国・アリババの「独身の日」のようにネットでも熱狂的な消費空間を通して味わえるが、それは「ショッピング体験そのものが楽しさを感じるアミューズメントになっているから」。ここに人はワクワクを覚えるわけだ。

時代が変わっても「モノ消費」はなくならない

 しかし、このことを単純に「モノからコトへ」という文脈でとらえると見間違える。ゲーム、ライブ、映画、旅行といった「時間消費」とは異なり、初売りや独身の日はモノを介在したコト消費である。さらにスポーツなどのコト消費でもツールというモノが必要で、当然ながら日常生活でも食べ物や日用品、住居用品は欠かせない。

 これは「人間がコトを行うことでモノ消費が生まれる」ということ。それ故、モノを売るには「起点のコトからさかのぼって、生活者のライフスタイルやニーズ、欲求、嗜好に留意することが重要」になるわけだ。

 アパレル不況で服が売れないというが、体を覆う以外の価値を求める「ファッションとしての服」の消費が落ち込んでいるのであり、働いたり暮らしたりするためには衣服は依然として必要とされている。

 消費者の財布の中の「モノとサービスの支出バランス」の変動はあるが。この先もモノ消費が消えてなくなるわけでない。

 家計支出に占める食品の割合を示すエンゲル係数は、第二次世界大戦直後の1946年は食べるために精いっぱいの生活で7割近くもあったが、戦後の復興期や高度成長期を経て一貫して下がり続け、近年は多少の上がり下がりがあるものの25%前後で推移している。エンゲル係数が下がり続けても、食品市場は人口増加や物価上昇、食欲を満たす以外の価値を付加するなどして伸び続け、SM業界も大きく成長した。