大資本とサードウェーブに親和性はあるのか?

 サードウェーブコーヒーがこだわる取引する豆の選別や季節に応じたシングルオリジンのコーヒーメニュー、顧客の前でハンドドリップするパフォーマンスは運営コストを高め、コーヒーだけで生み出す売上げでは利益を生み出すのが難しい状況にあります。

 そこでブルーボトルコーヒーは2015年、サンフランシスコで有名なタルティーンベーカリーを買収し、同店のパンやペストリーを提供することで客単価を高め、利益を確保していきました。ところが2018年、ブルーボトルコーヒーは大資本企業のネスレに68%の株式を売却し、大企業傘下として成長路線を歩んでいく決断を下します。

 サードウェーブコーヒーが発祥の地で人気を博したのは、その特徴ある味に加え、「小資本のコーヒー専門店が生産者とダイレクトトレード(直接取引)を行うことで地元の支持を得て生産者を守る」というビジネスの在り方。資本注入による成長戦略は、サードウェーブコーヒーを支持する地元レストランの料理人からブルーボトルコーヒーの扱いを中止する流れを起こすことになるのでした。

エシカルな新業態なら日本でも成功の可能性が高い

 2011年、サンフランシスコにはもう1つのサードウェーブコーヒー、フォーバレルコーヒーが麦から挽くパン専門店とベンチャーでMILLSというお店をオープンしました。MILLSはその名の通り、製粉機を店内に装備。自店チョイスのシングルオリジンのコーヒーとともに、その土地の風土で味が変わる麦から挽いた自家製サワードウブレッド(鋭い酸味が特徴で、微生物を培養させたパン)に地元農家のオーガニックを主体としたジャムやハチミツを塗ったトーストが人気となっています。

 サードウェーブコーヒーは大資本の効率的な利益を生み出す仕組み(大量生産、大量販売、大量消費)とは真逆をいくアナログな経営を実践し、顧客はサードウェーブコーヒーを楽しむことで自身の憧れるライフスタイルの実現を実感しています。しかも、生産者とお店と消費者は全員、サードウェーブコーヒーにより適正な価格とともに安全・安心の品質と、そのおいしさを手に入れることが可能になります。

 欲しいモノがない日本の消費者が、サードウェーブコーヒーに「いいね!」するだけ世の中をよくできるなら、エシカル(倫理的、環境を考慮した)なライフスタイルが世代を超えた支持を集めることはできそうです。