「このおいしさで100円!」

 コスパ抜群のコンビニコーヒーが世の中に出現してから数年がたち、その市場は200億円から10倍を超える2300億円の規模にまで成長しました。

 日本では喫茶店コーヒーが300円ぐらいした時代をへて、ドトールコーヒーがコーヒービジネスのチェーン化に成功し、半額の150円コーヒー(1980年当時)が誕生することで、一気に大衆化が進みます。しかし、1996年に外資のスターバックスが上陸すると、消費者はおしゃれな空間で楽しむ1杯約400円の深みのあるエスプレッソを軸にしたシアトル系深煎りコーヒーに魅了されていきます。

 そうした中、コンビニコーヒーは試作を重ね、「スターバックスに劣らないおいしさで、どこでも買える100円の手軽なコーヒー」として認知されていくのですが、日本のコーヒーは1杯100円を基準にこのまま「コモディティ化」(高付加価値商品が一般的な商品になること)した商品となるのでしょうか?

外資が日本市場に「エシカル」をもたらした!

 収穫に手間のかかるアラビカ種の豆を使ったコンビニコーヒーの出現に対し、大衆化したドトールコーヒーは高品質な生豆を直火焙煎するコーヒーとしてフランチャイズ展開も含め、売上げを拡大していきます。一方、スターバックスが提案する「第三の空間」(サードプレース、自宅でも職場でもない空間)で飲むコーヒーは、ライフスタイルを志向する消費者に価格に見合うコーヒーを楽しむ場所として支持されていきます。

 価格と手軽さで勝負するコンビニ。空間で心地よさを提供するスターバックス。立地と便利さを訴求するドトールが三つどもえとなり、コーヒー市場のシェア争いが激化している2015年、サードウェーブコーヒーのブルーボトルが日本進出を果たします。

 すると、ポスト・スターバックスともいえる次世代の日本のミレニアル世代(1987年以降に生まれた世代)を中心とした30代が付加価値のエシカルを軸にした、希少な味と生産地にこだわるブルーボトルを支持し始めたのです。

人気の秘密はSNSに投稿されるかっこよさにあった

 サードウェーブコーヒーとは、単一種の苗木から収穫されたコーヒー豆にこだわり、全体のコーヒー豆流通量の5%しかないシングルオリジン(ブレンドせず単一産地の特色が際立つタイプ)を、豆本来の個性や酸味が楽しめる浅煎りで焙煎し、抽出するスぺシャリティーコーヒーを指します。

 日本でサードウェーブコーヒーがブレイクした本当の理由はずばり、「コンクリート打ちっぱなしやレンガのモノトーンカラーでデザインされた店内で、バリスタがハンドドリップするコーヒーを飲む体験がリアルに充実しているおしゃれな被写体となり、SNSで共有されたから」ですが、このサードウェーブコーヒー、何をすれば世代を超えた支持を得られるのでしょうか?

 その答えは今、サードウェーブコーヒー発祥の地・サンフランシスコのコーヒーを巡る客単価アップの手法を検証すれば、ヒントが見えてきます。