セブン‐イレブンは三田国際ビル20F店(東京都港区)で「顔認証による決済」を始めた。

 米中経済戦争の余波がアップルの業績にも響いて波乱の幕開けとなった2019年だが、わが国経済への波及も必至で為替も株もそれを読み込んでおり、10月の消費税増税も3度目の延期に追い込まれるやもしれない。流通業界の2019年は経済の失速による消費の冷え込みと消費税増税前の駆け込み購入が交錯する波乱の展開となりそうだが、その中でもC&Cとニューリテールは加速度的に広がっていく。

C&Cとショールーミングストア

 C&C(クリック&コレクト)はECと店舗販売の両側から顧客利便を競って拡大しており、宅配物流コストの高騰も背中を押している。EC品を店に取り寄せて試したり、EC注文品を店で受け取ったり、EC注文に店在庫を引き当てたり店から出荷するのがC&Cで、EC専業者に対する店舗事業者のアドバンテージとなり顧客利便と物流コスト削減をもたらす一方、店舗運営には新たな負荷がかかってくる。

 極論すれば店舗が物流センター(フルフィルセンター)を兼ねるわけで、通常の店舗運営にEC品の受け渡し、ピッキングや出荷の作業が加わる。ネット注文品の受け渡しやピッキングも担うスーパーマーケット(SM)の実情を知れば店舗運営の片手間ではこなせない作業だと分かるはずだ。

 その対極にあるのが販売と在庫を切り離すショールーミングストアで、販売在庫を持たないから店内物流作業も店舗物流も家賃負担もミニマムになり、接客販売に集中できる。いいことばかりに思えるが、サンプル陳列によるショールーミングストアはお試し用サイズ在庫の持ち方や陳列、試着後の戻しなど運営課題が山積しており、ZARAもGUもテスト店舗の運営では四苦八苦している。店舗受け渡し品のピッキングとお渡しも免れず、ZARAではロボットシステムを導入して自動化している。

 お取り寄せお試しに特化したC&Cサロンの「ノードストロム・ローカル」も販売在庫を持たない一種のショールーミングストアで、サンプル在庫も持たないから前述した運営課題も存在しない。似たような受け取りお試し拠点(TBPP〈Try Buy Pickup Point〉:中身を確認したり試着してから購入や返品ができる受け取り拠点)をEC専業者が展開すれば、お試しの壁を取り払って返品コストを抑制し店舗事業者のC&Cに対抗できるのではないか。

ニューリテールは普及段階に

 ニューリテールは無人精算とキャッシュレスが実験段階から普及段階に移行し、フードサービスはもちろんコンビニやSMでは日常的な風景になっていく。キャッシャー人件費の削減やレジ待ちの解消、店頭の一等地を閉めるレジ列の解消(代わって何らかのスマートゲートが並ぶが)、AIによる購買行動の解析と活用などメリットが大きく、IT業界やリテール機器業界の開発も日進月歩で実用化が加速している。

 先行企業の実験店舗が注目を集めているが、実用化導入には慎重な判断が求められる。技術革新が日進月歩故、怖いのが「リープフロッグの罠」で、重装備で高コストな新技術もあっという間に旧式化し、格段に軽装備で低コストな新技術に代替されていく。システム投資の決断は技術革新の先を見据えるべきで、実験段階から普及段階へ移行するタイミングは一番リスクが大きい。キャッシュレス化については既に普及段階だが、金融業界と通信業界の利害調整や政治的な意向が大きく、消費税増税や選挙など政治的スケジュールで事態が一気に進展する。

 フリースタンディングの大型店やコンビニにとっては自社で取り組む課題でも、レジシステムをデベが統括管理する商業施設ではデベが取り組む課題とならざるを得ないが、果たして視野に入っているだろうか。デベが対応できなければ統括管理から外れるテナントが増え、キャッシュレス化でもビッグデータでも主導権を失い、EC系やIT系の経済圏に侵略されることになる。