飲食の充実で夕方以降に伸び、自社モールとすみ分け

 開業後は好調なスタートを切った。7月は西日本豪雨で幹線道路が寸断・渋滞し苦戦を余儀なくされたが、夏休みに入った8月から回復。9~10月は台風などの影響で足踏みしたが「10月末までの来場者数は年間800万人の目標に対し7%増で推移。年間売上げは達成できる見通しだ」(兵頭良樹ゼネラルマネージャー)と言う。

 好調なのは充実しているスポーツ・アウトドア系と「ビームス」「ベーセーストック」などのセレクトショップ、「レイカズン」「アズ ノウ アズ」といったカジュアルブランド。時計の「セイコー」もいい。

 1階では台湾のコイカフェによるタピオカドリンク「コイティー」が爆発的なヒットで週末には50人が並ぶ。フードコートでは「いきなりステーキ」「鳥さく」、食物販はベーカリーの「ハートブレッドアンティーク」が人気だという。エンターテインメントは週末のお客は多いが、まだ認知度不足。地域との出会いでは瀬戸内・広島の作家を軸にしたセレクト編集型ショップ「サッカザッカ」がにぎわっている。

 特徴的なのは夕方の売上げの伸びがいいこと。通常アウトレットは17時以降お客の引きが早いが、同モールでは1階の飲食店が充実しているため、夕食時間までに帰宅せずモールで食事をする人が多く、相乗効果が上がっている。飲食目的で来店するお客も多い。

 また車で20分の距離にあるイオンモール広島府中(広島県)にはあまり影響を与えていないことも特徴だ。すみ分けができており、お客は相互に行き来している。

<1階の注目店>にぎわっている「サッカザッカ」

暮らしとコトのスタイル提案「なみのわガレージ」にある編集ショップ「サッカザッカ」。瀬戸内・広島のクリエーターが作る商品を販売する。
食物販「よりみちマルシェ」の核店舗「瀬戸内トリップ」。広島県の各自治体と連携し、瀬戸内・広島の名産品を集めている。
「にしかぜダイナー」は約1000席のフードコートの他、写真のようなノスタルジックな空間で地元のグルメが味わえるゾーン「きんさい横町」も展開。
エンターテインメント「ほしかげシティ」にシネマやボーリング、ゲームなどと共に配置された通年型の屋内スケートリンク。

早期の増床を模索、今後は複合型で多店化も

 客層は30代~40代の女性が主力だが、週末にはファミリー層が多く、平日は年配の夫婦やランチに訪れるママ友グループも目立つ。リピーターも多い。車利用は平日が80%、週末は85%。路線バスはJR西広島駅から、週末には広島駅からも出ている。

 インバウンド(訪日外国人客)は認知度が高まっていないことからまだ少ないが、大手旅行会社やアジアの航空券発券サイトなどと組む一方、本社のインバウンド推進グループと連携して集客を強化していきたい考えだ。

 テナントの新規導入にも一部着手。11月にはドイツの高級調理器具「フィスラー」の他、「バナナ・リパブリック」のウイメンズ店をオープン。19年4月に増床しメンズも加える予定だ。12月には雑貨系ブランドも入居する。

 アウトレットモール業界に新規参入したジ アウトレット広島。今後の展開について、同社の吉田昭夫社長は「早めに少しスケールアップしてもっと支持される施設にしたい」と早期の増床を示唆する。

 今後の多店化については「今回はアウトレットとエンターテインメントと地域との出会いというコンセプトで、フードを中心にローカルにこだわったゾーンを編成したが、次はアウトレットとエンターテインメントだけ、フードだけになるかもしれない。もう1つ何かを付けるかもしれない。いずれにせよ立地を厳選し、地域に合わせた組み合わせによる複合型で出店していきたい」と2号店以降の出店に意欲を見せている。

  • ■ジ アウトレット広島
  • 所在地/広島市佐伯区石内東4-1-1
  • 敷地面積/約26万8000㎡
  • 総賃貸面積/約5万3000㎡
  • 階層/地上2階建て
  • テナント数/約200店(うちアウトレット約120店)
  • 初年度来場者目標/800万人
  • 開業日/2018年4月27日
  • デベロッパー/イオンモール

<GMに聞いた「これからどうする?」>

兵頭良樹 ジ アウトレット広島ゼネラルマネージャー

「広域に情報発信し認知を高める」

 アウトレットを軸にかなり広域から来場されているので、しっかりと買って帰るお客さまが多い。スポーツ系やセレクトショップのショッパーを持っている方をよく目にする。

 特に広島市中心部にも店を構えている名の知れたブランドは安心感もあり、好調な売れ行きを示している。

 1階は飲食ゾーンが人気で、地元客を中心に食事をすることを目的に訪れるお客さまも目立ち、2階のアウトレットにも良い影響を与えている。

 今後の最優先施策は1つだけ。開業してまだ半年であり「初めて来場した」というお客さまも20~25%いるので、まずはこのモールを知っていただくことに力を入れたい。テレビや雑誌とのタイアップを含め、モールの情報を広域に伝達していきたい。来場された方にはSNS(交流サイト)で口コミ情報を発信してもらうことも重要だ。

 飲食店も売上げにはでこぼこがある。お客さまの声を聞きながらさらにモールの魅力を高めたい。アウトレット店は強みであるスポーツ系のテナントにさらに注力する。

 

 
 

※本記事は『販売革新』2018年12月号に掲載されたものです。内容は取材当時のものです。

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