イオンと三菱商事の10年に渡る提携関係が終了することになった。2008年12月に結んだ包括業務提携契約で、三菱商事はイオンの株式を4.64%保有していた(18年8月31日時点)が、一部の株式を売却する意向をイオンに伝え、両者協議の上、合意した。それを受けてイオンは19年2月末日をもって提携関係の解消を申し入れ了承された。

 10年間の長きにわたる「婚約生活」が破談になったのは、お互いの思惑がすれ違い、距離が縮まらなかったという現実だ。そのため、双方が相手に求めるものも得られず、同棲さえできず、結局、結婚に至らなかったわけだ。

 三菱商事は商社として商流を考えた上で、小売りという川下の巨大グループ・イオンと提携することにより、内外の商品調達やイオンのグローバル展開へのコミット、傘下の卸の三菱食品との取引拡大といったビジネス上のメリットを期待した。そしてイオンのコンビニ・ミニストップのローソンへの合流という願いもあった。

 一方、イオンは、提携当時は業績が低迷し、三菱商事の資本を受け入れることでリスクヘッジを図り、商社のネットワークを活用したさまざまな事業で成果を得ようという目論見があった。

 両者は双方の思いは十分に認識していたわけだが、イオンにしてみれば、三菱商事や三菱食品との取引においてほとんど成果を得られず、その後、業績が回復し資本提携の意味も次第に薄れていった。

 三菱商事も当初期待していた商取引における関係強化が進まず、イオンがミニストップを手放す気配もないことから、提携解消を決断するに至ったということだ。

小売りが力を付けて、商社上位の上下関係が変化

 商社は、昔から小売企業に対し、金融や物流、商品調達など、いろいろな面で関与してきた。過去に何度も小売りの危機を救ったこともあり、かつては両者の関係は商社が上位の上下関係にあった。

 しかし、小売りは力を蓄えることで自力での資本調達が可能となり、事業でも自前で展開できるような力を備える企業も出てきた。ただ、その一方、競争に敗れそうになる企業も当然出てきて、敗退を防ごうと『寄らば大樹』で生き残りを担保する動きもある。

 商社はそれら敗退を防ぎたい企業に対して再び、関与を強め、以前よりも直接的に小売りを支配する時代になっている。ローソンは三菱商事の子会社、スーパーマーケットのライフポレーションは持ち分法適用会社だが、いずれ子会社化の道筋を辿るのは既定路線。ユニーファミリーマートホールディングスも伊藤忠商事の子会社であるという状況になっている。

 こうした経緯を考えると、三菱商事にしてみれば、いずれイオンをグループに引き入れ、最終的に飲み込もうという大それた野望があったかもしれない。しかし、イオンは小売りナンバーワン企業で、今後も自前で道を切り拓くことが十分に可能、今のところ他社を頼る必要は全くない。双方の事情を考えるとお互いの気持ちが冷め、関係が冷え込んで婚約解消に至るのは当然の帰結といえる。

 流通業界では、最近もドンキホーテホールディングスがユニーを子会社化、アークス、バローホールディングス、リテールパートナーズが資本業務提携し、「新日本スーパーマーケット同盟」を結成するなど、業界再編の動きが目立つ。今後も時代に向けて成長を担保し生き残りを図るために、再編は加速していくと思われるが、一方で資本の論理でない、アライアンスも重要性を増していくだろう。