AI化の実験を進めるコンビニでは人時生産性は2倍になる

 編集部:今回、お尋ねしたいのは、どういう方法で、店舗の人時生産性を上げて行くかです。従来は「売上げが増える中で人員数が同じなら、生産性は上がる。要は売上げを増やすことだ」として、約30年もパートに置き換えるだけで、必要だった店舗作業の合理化は行われてこなかったように思います。

 最近はアマゾンのAI店をまねて、コンビニのレジなどのAI化の実験的な展開が見られます。2人のパートが1人で済み、コンビニの人時生産性は2倍に上がるようです。電子マネー化も現金処理の生産性を上げるでしょうね。

 こうした商品管理とレジのAI化に至る前に、小売業で人時生産性を上げるために何をすべきか、ということです。

 吉田:前回の人員配置計画表の続きです。図表に人時資産統括表を示しました。店舗の作業である、以下の13分類の作業の現在の人時生産性を計算し、改善目標を作るための基礎となる図表がこれです。

 

1.入荷/検収作業

2.棚陳列作業(商品搬送を含む)

3.棚調べ作業(生鮮の鮮度管理)

4.発注計算/処理作業

5.売場の販売/接客作業

6.店内調理/加工作業

7.レジ作業

8.陳列商品変更作業

9.値札・POP作業

10.クリンリネス作業

11.会議・書類作成

12.コミュニケーション

13.その他の管理作業

 人員配置計画表で、次年度は店舗の人時売上生産性を10%改善するとすれば、この1から13の人時生産性の合計値が10%上昇しなければなりません。人時生産性の年度上昇目標は年10%が基準になるでしょう。前年比で同じ売上げなら10%の人員配置数の減少です。先に年5%と言ったのは、これから10年、小売業の経営が持続できる最低値です。

 法制化された同一労働・同一賃金は、「順次、段階的に実行されていく」からです。製造業や金融業のパート賃金が上がると、小売り・サービス業のパート賃金も若干遅れて上がります。他業種では上がったパート賃金を自社も上げないと、パートの雇用ができなくなっていくからです。パート不足がいわれますが、この根本原因はパートの時間給の低さです。しかし、パートの時間給を上げると、その上昇率に比例して、正社員の基本給も上げなければならなくなります。

 地域商圏の総需要が減少する環境の中、既存店売上げが横ばいや低下のとき、賃金全体を例えば3%上げ続ければ、店舗は赤字に転落し、3年や4年しか経営がもたなくなっていきます。既存店の売上げが低下し続け、資産切り売りを続け、今年破産したシアーズのようになっていくでしょう。

 小売り・サービス業は人時生産性の上昇のための現場作業の合理化を迫られています。はっきり申し上げれば、これができないと、5年後に店舗はないでしょう。それくらい切迫した経営問題が人時売上生産性の上昇だと認識すべきです。30年のパートへの置き換えにより、賃金を事実上は未払いにしてきたつけが、2019年からは一挙に現れます。