最もインパクトがあったのは、ドン・キホーテがユニーを完全に飲み込んだことだ(写真はMEGAドン・キホーテUNYの1号店、大口店のオープン日)

 今年の年頭に、「2018年流通はどうなる? どう変わる? そして未来を考える」という記事で、『当たるも八卦当たらぬも八卦』で2018年に起こるであろう変化を占った。

 そこで、「寡占化が進行していく中で強者同士の連携も起こる可能性も高まっていく」と指摘したが、そこまでの進展は見られなかった。

 しかし、今年も合従連衡はさまざまな形で行われ、業界の勢力地図を大きく変える動きもあった。その中で最もインパクトがあったのは、ドン・キホーテがユニーを完全に飲み込んだことだ。既に、17年11月資本・業務提携した時点で、ドンキはユニーの株式を40%取得していたが、残りをユニーファミリーマートホールディングスから買い入れ、完全子会社化することになった。

 これに先立ち、2月から3月にかけてユニーの「アピタ」「ピアゴ」の不振6店舗をドンキのノウハウを導入した「MEGAドン・キホーテUNY」業態に転換し、売上げを約2倍にし、再生を果たした。

 この成功は、長年低迷する日本型GMSにディスカウントという劇薬を注入し、本部主導のチェーンストアオペレーションから店舗に権限を委譲した個店経営に移行したことによるものといえる。

 倒産品などのバッタ商品を売る「泥棒市場」から成り上がった流通業界の異端児のドンキが、メインストリームを歩んできたユニーを傘下に収めたことは、流通の歴史において転換期に入ったことを意味する。

 ドンキは今夏、ウォルマートが西友を売却するという報道が流れたときも、有力な売却先として注目され、ドンキ自身も買収に興味を示した。今後もあらゆるM&Aの可能性を否定しておらず、M&Aでは有力なプレイヤーとして存在感を増していくことだろう。

イオンが事業拡大のために統合を進めている!

イオンも中四国を地盤とする有力リージョナルチェーンのフジと資本業務提携

 一方で、イオンも中四国を地盤とする有力リージョナルチェーンのフジと資本業務提携することになった。イオンは2019年2月末を目途に約130億円でフジの株式15%を取得、フジを持分法適用会社にし、役員も派遣する予定だ。

 イオンはグループのスーパーマーケット(SM)企業を北海道、東北、東海、近畿など全国6つの地域ごとに経営統合させ、再編を図ることにも着手する。このエリアでは既にマルナカを傘下に収めており、フジが加わることでマックスバリュ西日本、山陽マルナカの4社を合わせると売上げ規模は7000億円を超え、一方の雄であるイズミと並ぶ勢力となる。

 イオンのSM事業の営業収益は、2000 年度の 3000億円から2017 年度は 3.兆2000億円と主力事業だったGMS(総合スーパー)事業を上回る規模に成長した。その原動力となったのがM&A。ダイエー、ヤオハン、光洋など数多くの企業を買収してきた。

 今回の統合により、それぞれの地域に年商5000億円企業を誕生させ、物流改革、商品の開発・調達やITの強化といった取り組みを進めていき、6社合計で2025年に、17年度比で3割増の売上高3兆1000億円、営業利益は1.8倍増の1100億円を目指す。

 イオンは全国であまねく事業を展開する唯一の小売りナンバーワン企業。フジからすれば、単独で展望が開けず、寄らば大樹である程度、独立性を担保して生き残りを図ろうという意図が透けて見える。だが、イオンはかつてのように“緩やかな連邦経営”ではなく、今回の経営統合のように事業拡大には集約化が必要だと考え、統合が進む。その中で、フジはどこまで独立性を保っていけるかは定かではない。

 フジ以外にも資本参加している、イオンとある程度距離をとっているいなげやとベルクとの関係が今後どうなるかも注目される。

 SM業界では北海道・東北のアークスや東海のバローといった有力ローカルチェーンvsイオンの構図がより鮮明化し、これからはさらなる合従連衡が進むものと思われる。ローカルチェーン同士の連携も可能性がある中で、イオンは主要なプレイヤーとしてあり続けるだろう。

驚いた「セブン&アイとイズミの提携」

セブン&アイ・ホールディングス(HD)はイズミと業務提携

 イオンと並ぶ2大流通グループのセブン&アイ・ホールディングス(HD)も動いた。イズミと業務提携し、イトーヨーカ堂とイズミで、商品調達や商品開発、電子マネーなどで連携を図っていく

 具体的に考えられているのは、セブン&アイ・HDのPB「セブンプレミアム」、電子マネー「ナナコ」のイズミへの導入だ。イズミにすれば両者は大きな魅力で、自力で手掛けるより投資も少なくて済みはるかにメリットが大きい。

 一方、経営再建中のイトーヨーカ堂は低迷する「福山店」を来春、イズミに譲渡することで負担軽減を図り、首都圏でのGMSの構造改革を進めていことしているが、その道のりは険しいものがある。

 今回の提携が資本関係まで進むか今のところ未知数だが、この提携で明らかになったのは、セブンプレミアムとナナコ、イズミのGMS事業の強さが改めて証明されたことである。

 年末になって、アークス、バローホールディングス、リテールパートナーズ3社の有力ローカルチェーンが資本業務提携することが発表され、これによりアークス5139億円、バロー5440億円、リテール2289億円を単純に合わせると約1兆3000億円のビックチェーンが誕生することになる。

 このアライアンスは「新日本スーパーマーケット同盟」と名付けられ、今後、数多くの企業の参画を得て、売上高3兆円を目指そうとしており、業界再編でイオンと並ぶ中心軸となる可能性が高い。

 どのような提携であれ、人口減少により国内の消費市場が収縮する状況下では、今後も淘汰が進み、再編の流れは加速するのは確実で、これからもM&Aはさらに活発化するだろう。