「日本を代表する肉料理」を料亭の空間で提供する

――二子玉川の「まんぷく」に込めた思いとはどのようなものですか。

 これまで25年間飲食業を営んできて、イタリアンと焼き肉店の両方を展開してきました。焼き肉の展開に関しては特に強く力を入れてきたわけではありませんが、縁があってアメリカに行き、いろいろな国を訪ね歩いてみて、焼き肉とは「世界商材」だと思うようになりました。日本人が世界に広げていく飲食業としては、とても理にかなった業種です。

 そこで、これまでに培ってきた中で確信した「日本を代表する肉料理」を提案しようということです。

 一般的に焼き肉店は脂っぽい。店に入ると真っ先に脂のにおいがするものですが、無煙ロースターを活用して、かねて清潔感のある焼き肉店をつくりたいと考えていました。2014年9月にオープンした青山の「まんぷく」でそのベースはできたのですが、もっと料亭のようにきれいで落ち着いた店内で食事ができる、純粋に和風の雰囲気の中で焼き肉を楽しんでいただきたいということを考えていきました。

 今回の二子玉川の店では外部の方を交えて「日本らしさとは何か」を一生懸命に考えました。

 私は「生花」を入れることにこだわりました。生花は華やかでかつ手を入れないと朽ちていくものです。同時に、常に店の環境に手を加え続けることで店が輝いていきます。

 料理については、日本の季節感を感じられる食材を野菜の他にも取り入れていく。焼き肉と日本酒のペアリングも考えました。

 客単価は6000~7000円で、客単価4500~5000円の店よりもワンランク上でゆっくりと時間を楽しみながら食事をする空間。適度なボリューム感があり、丁寧な接客があり、毎日使える客単価ではないが、親しみがある価格帯であること。今では中高年のご夫婦もいらっしゃるようになり、店のコンセプトにかなったお客さまが定着してきています。

店内では日本の「風情」と「季節の移ろい」を伝えるよう生花を大切にしている。内装は「木」や「石」を使用し、間接照明は温かみのある「電球色」を使用。厨房、レジ周り、また机やイスなどの家具のサイズも従業員、お客様ともにスムーズに動けるように設計されている。

アメリカでは白人に対応したブランディングを展開

 

――インバウンド対策で取り組んでいることにどのようなことが挙げられますか。

「まんぷく」は自由が丘、代々木上原、青山、六本木ヒルズ、二子玉川と展開してきましたが、立地が示すように店ごとの顧客層が異なります。自由が丘、代々木上原などでは地域密着なのでインバウンド対策はしていません。

 その点、六本木ヒルズはインバウンドの多い店です。外国人のお客さまは3割程度、東アジア2割 東南アジア0.1割、欧米系0.9割となっています。

 取り組んでいることを挙げると、この分野に強いweb媒体に掲載してもらうこと、ホテルのコンシェルジュに懇意にしていただくこと、また制服を着物に替えました。

 メニューは日本を感じているものを取り入れ、日本酒の打ち出した方も他の店よりも強く行っています。

――今後、アメリカ展開はどのように進めていきますか。

 アメリカの市場は圧倒的に大きい。カリフォルニアで基盤を固めたことから、せっかくのチャンスなのでもっと広げていきます。そこで、テキサスに進んでいく計画です。いずれは東海岸にも行きたい。

 これまで、アジア人を中心にした対応を行ってきましたが、今、LAではアメリカの白人をターゲットとした対応を心掛けていて、これらの層に認めていただけるようなブランディングを行っています。

 アメリカの白人が好む焼き肉の傾向もつかんできているので、これから内装の工夫や、より日本らしさをアピールする取り組みを行って出店をしていきます。

「まんぷく」にとって、テキサスには3~5店舗が展開できる市場があります。また、現地では新しい食に対する価値感が高まってきていて、われわれが培ってきた「日本のおいしい肉料理」を紹介していきたい。