ネットスーパーはこれを使いこなせているか?

 最後に、日本におけるGMSやスーパーマーケット(SM)の「ネットスーパー」の事例をサブスクリプションのフレームワークで捉え直します。

 ネットスーパー事業には、SMのヤオコーのように配送費問題の解決のために、利用料として、月額制を敷いているところもあれば、イオンのように1回当たりの購買金額の総計が5000円以上だと、配送料自体が無料になるサービスを実施するところもあります。

 このように、この事業で鍵を握るのが「配送コストの高さ」であることは自明の理なわけですが、この部分を小売業のPL(損益計算書)上で、自力でうまく吸収できないと、いつまでたっても事業の収益性を確保できず、ビジネスとして独り立ちさせられないことになります。

 さて、ここで皆さんに質問です。上記2社は「サブスクリプション」の概念をうまく使えているでしょうか?

 これに対する私の答えは「うまく使えている部分と使えていない部分が並存している」です。

 というのは、この2社のやっているネットスーパー事業は、残念ながらまだ「利便性」向上の域を超えていないと思うからです。

「商いの本質を忘れてはいけない」のは同じ

 消費者は企業が思っている以上に賢明です。サブスクリプションにどのような「価値」があるかを分かった上で利用しているので、月額利用料を取るのもよし、一定金額以上の購入で配送料を無料にするのもよしでしょう。

 しかし、小売企業は商いの本質を忘れてはいけません。消費者が真に求めている価値とは、「利便性」だけではなく、「企業への信頼感」と「買物の快楽性、満足感」なのです(「のれん」を思い出してください)。

 日本の小売企業各社はこの点をよく考え直し、改善をした方がいいでしょう。

 そのためのポイントが、「実店舗」で顧客に対して行っている経験価値型・課題解決型の質の高いサービスを「ネット」でも同レベルで、シームレスかつストレスレスに提供できているか。その際、忘れてはならない大切な視点が「顧客視点」と「価値共創」です。

 サブスクリプションを用いると、実はいいことがあります。それは専門的に記すと「クロスセル」「アップセル」が行いやすいということ。サブスクリプションの導入により、併買率が高くなったり、通常の商品より高めの商品が売れるようになる可能性があるということです。

 今後、小売業、サービス業ではもっとサブスクリプションが浸透していくことでしょう。そしてそれにつれ、「企業としての信頼性」、すなわち、「コーポレートブランド力」が求められることになります。小売業、サービス業はサブスクリプションの取り組みを進めると同時に、「コーポレートブランド力」を高めるための準備も、今すぐ始めることをお勧めします。