わが国百貨店はなぜ、米国百貨店のように本音で突っ走ろうとしないのか(写真はノードストローム・ラック)

 昨シーズンの厳冬とは一転しての暖冬であふれる防寒衣料を売り切るべく、アパレル業界と百貨店業界は年初と1月下旬の2段階でセールを仕掛ける。夏も似たような2段階セールを仕掛けて一定の成果があったと説明されているが、言葉通りには受け取れない。

建前と現実のギャップ

 夏の2段階セールでは、6月末に統一した第1弾は前年から前倒しになった百貨店もあって盛り上がったが、7月末の第2弾は他の商業施設でセールが一巡した後手に回り、売り手のアパレルは在庫を抱えて待ち切れず、顧客も購入予算を残して待ち切れず、期待値に届かなかった百貨店が多かった。

 過剰供給と値引き販売が定着してEC先行で年々、実質的なセール時期が前倒しされ、高級ブランドとて百貨店の期末セールを待つことなく早々と顧客限定のシークレットセールを始める昨今、需給の実態を無視して無理やりセール時期を後倒ししても顧客もアパレル業者も付いて来ず、ほとんどの商業施設でセールが一巡した後から2段階目のセールを盛り上げるのは無理がある。ましてや、2段階のセールのはざまにコートをプロパーで売ろうと図るのは売り手都合の幻想というしかない。

 売れ残り在庫が少ない人気ブランドはセールを急ぐ必要がないが、そんな人気ブランドほど次シーズン商品への切り替えも早く、セールを遅らせるといったん立ち上げた次シーズン商品を引き上げてセール商品を搬入し、セール後に次シーズン商品を再搬入するという二度手間を覚悟しなければならない。それも閉店後の夜間作業とならざるを得ないから労務負担も重い。セールを仕切る百貨店側はそんな修羅場には付き合わないから、アパレル業者の負担など見えていないのだろう。

 セールが先行するECや商業施設に商品を回さず、百貨店のセールまで虎の子の商品を倉庫に積んで待つのも業績の苦しいアパレル業者にはつらい。在庫が倉庫にあってもECでセール販売し、受注に倉庫在庫を引き当てて売り減らしているのが現実だ。「ギルト」などフラッシュセールサイトも同様な仕組みで、在庫を売場や倉庫から移動することなくECで販売し、受注してから移動して顧客に出荷している。そんな“仮想セール会場”に二股三股をかけて倉庫に積んでいるのだから、第2弾セール向けの商品が確保されているとは言い難い。