アパレルだけでなく、雑貨やインテリアにも触手

 ジーンズメイトに先駆け、16年10 月にグループ入りしたのが三鈴。1970年に設立された企業で、「Rew de Rew(ルゥデルゥ)」などのブランドを手掛けてきたアパレル。

 08年10月には、ジュエリーブランド「4℃」などを展開するF&Aアクアホールディングス(現ヨンドシーホールディングス)に買収された過去があり、ヨンドシーホールディングスが手放したことでライザップは傘下に収めたという経緯をたどった。この買物が高いか安いか、ライザップ傘下で事業を成長軌道に乗せられるかは今のところ不明である。

 1947年創業の老舗レディースファッション専門店「馬里邑(マリムラ)」も、13年にライザップグループとなった。17年、同じグループ企業の堀田丸正に営業業務を移管し,現在、「三越」「そごう」「松坂屋」など全国の百貨店に40店舗を展開、ネット通販も行っている。素材にこだわり着心地の良さを求めたノーブルでエレガントなファッションはシニアのミセスの根強いファンがいるが、年々顧客の高齢化が進んでブランドとしては存在感が薄くなりつつあり、将来に向けての展望が開けてこないのが現状だ。

 アパレルだけではなく、雑貨やインテリアにも触手を伸ばしている。16年5月にはインテリア雑貨専門店チェーンのパスポート(現ハピンズ)を傘下に収めている。パスポートは雑貨ショップの先駆けの1つで、かつては人気ショップだったが、店舗が小型で品揃えも時代とずれが生じ、次々登場する新手のチェーンにお客を奪われていった。

 18年3月期には商品と品揃えの改編および店舗内装・外観の見直しを推し進め、メインブランドである 「PASSPORT(パスポート)」を新ブランド名の「HAPiNS(ハピンズ)」に変更し新規出店も行い、コスト削減にも取り組んできた。その結果、営業利益は前期の5億円の赤字から1億円の黒字となっている。

 今後はハピンズのブランディング力を高めていき、品揃えを強化し、競争力のある業態にしていけるかがポイントとなる。

 13年9月にグループ入りしたイデアインターナショナル。店舗事業では「IDEA SEVENTH SENSE(イデアセブンスセンス)」「BRUNO(ブルーノ)」、「 MILESTO(ミレスト、トラベルブランド)」などを手掛けている企業だが、この企業が18年4月には女性向けバッグの国内トップクラスのOEMメーカーであるシカタを買収している。

 15年3月には、夢展望を買収しネット通販事業にも進出した。赤字企業だったが、18年3月期には黒字転換し、営業利益が大幅増益。主力のヤング向けのアパレル事業が、MD・商品企画の充実、SPA戦略の強化、店舗別の販売戦略の強化などにより好調に推移しているが、17年にトレセンテを買収したジュエリー事業は営業損失を計上している。

 18年秋には、住商ブランドマネジメントからイタリア発のシャツやブラウス専門のブランドで国内に77店舗展開する「NARACAMICIE(ナラカミーチェ)」事業を継承した。

玉手箱を開けたら本業の足を引っ張ることに

 こうして傘下に収める小売関連企業は幅広い分野に渡っているが、それぞれの関係性はあまり強くなく、何でもいいからダボハゼがエサに食いつくように、買収してきたという性格が強い。今後、どこまでシナジー効果を発揮できるか、そして個々の企業の経営を軌道に乗せて、成長を担保できるか、その道筋は決して容易なものではない。

 2年半でおよそ60社あまりものM&A.を手掛けてきたRIZAPグループだが、今回の赤字転落でM&Aも凍結することになった。ストップをかけたのは18年6月、グループ入りし代表取締役COOに就任した松本晃氏(現在は代表取締役 構造改革担当)。9年間で売上高を2倍とカルビーの業績をV字回復させた辣腕のプロ経営者だが、グループ企業の実態を精査し棚卸し、瀬戸健社長に対し、進言したことでこうなった。

 計画されていた企業買収を凍結したことで予定していた負ののれんが見込めなくなった他、買収先の業績改善も進まず、追加リストラが避けられないと想定外の費用が発生することが予想され、株価も大幅に下落している。

 RIZAPグループは「自己投資産業でグローバルNo.1ブランドとなる」というビジョンを掲げているが、なかなか買い手が付かなかった死に体同然のオールド企業に投資し、「結果にコミットできず」苦境に陥る皮肉な事態を迎えている。

 本来、M&Aのメリットは時間を買って事業を拡大することだが、ライザップのM&Aは極めて異形なもの。負ののれんが利益を生み出すという禁じ手ともいえる錬金術の玉手箱を買い漁り、ふたを開けたら本業の足を引っ張ることになった。今後は成長事業への集中が図られ、整理統合が行わることになり、グループの姿は大きく変容することになろう。