「結果にコミットする」というキャッチコピーで、ダイエットに成功した数多くのタレントのビフォー・アフター映像のインパクトあるCMでおなじみのライザップ。

 十数年で売上高1000億円超のグループに急成長したが、今期は業績を下方修正し、一転して赤字に転落する見込みとなった。

 成長の原動力となったのがM&A。出版社やアパレル、通販、音楽映像ソフトショップ、ボウリング場、サッカークラブ、健康食品などさまざまな業種の企業を買収し傘下に収めたが、多くの企業が本業のトレーニングジムの関わりが薄く、しかも業績不振の赤字企業ばかりだ。

 なぜ、手当たり次第の無謀とも思える行為をとったのか、そのからくりは企業買収の際に生じる買収額と買収企業の純資産の差額「のれん代」にある。優良企業を買収する場合は技術力やブランド力を評価してのれん代を上回る額を支払うことが多いが、その差額を償却しなければならず減損となり、利益を押し下げる要因となる。

 だが、ライザップの場合はその逆で、買収額が買収される企業の純資産を下回って生じる差額「負ののれん」を、営業利益として上乗せし(国際会計基準)、利益を押し上げていた(同社の営業利益の実に半分以上を占めるのが負ののれん代だった)。

 そこで、今回は同社が買収した流通関連の企業について考察してみることにする。

構造改革で既存店も回復したジーンズメイト

 まず、ジーンズメイト。

 1960年、岡山県児島市で衣料品製造卸業からスタート、その後、卸専業となり、78年には小売りに進出、東京・下北沢にジーンズ専門店の1号店を出店した。

 80年代から90年代まではカジュアルファッションの人気店として若者に支持され、ファッション専門店では異例の24時間営業でも話題を集めた。創業者の子息・西脇昌司氏も、現在のユニクロの柳井正社長のような存在で注目された経営者だった。ピーク時の売上高は2000年2月期の247億円、経常利益も19億円を上げていた。

 しかし、その後は「ライトオン」「マックハウス」、そして「ユニクロ」といったライバルに大きく後れを取り業績が低迷、近年は売上高がピーク時の半分以下の100億円を下回り、18年3月期まで10期連続の最終赤字と不振が続いていた。

 ライバルが店舗を大型化し、レディース、キッズへ品揃えを拡大。郊外の路面店やショッピングセンターへ出店していったのに対し、ジーンズメイトは品揃えの拡大への取り組みや、郊外進出やSC出店が遅れ、成長の機会が失われていった。

 17年2月にはRIZAPグループの連結子会社となり、創業家は全株を放出し、西脇氏は取締役会長を退任し、再建に向けて「第二創業」と位置付け再スタートが切られることになった。

 業態集約やリブランディング、経費削減による販管費圧縮、値下げ、値引きの抑制、PBリブランディングによる荒利益率改善など構造改革に取り組んだ。その結果、18年3月期は期の後半から既存店の売上高、客数、客単価が前年度を上回り、通期の既存店売上高は実に15期ぶりに前年を上回り106.0%になった。

 今期も引き続き、改革に取り組み、店舗リストラやリニューアルを進め、インバウンドやECへの対応も強化。荒利益率の高い売上高の40%を構成するSランク商品の売り込みを図り、収益改善を図ろうとしている。通期では4期ぶりの営業黒字、11期ぶりの最終黒字化を目標にしている。

 ジーンズメイトはあまりに長期に低迷し有効な打開策も打てなかったことから高コスト構造から抜け出られず、企業活力が失われていた。進める構造改革に取り立てて目新しいものはないが、これからも一定の効果は確実に出てくるだろう。自己資本率は約70%で有利子負債もなく財政状態は健全で、赤字体質から脱せれば、成長に向けた新たな次の一手を打てれば展望も開けてこよう。