消費者が家庭に溜めている大量の硬貨を、銀行に持ち込むことなく、いつも利用している店舗で紙幣に交換できる、コイン換金機「コインスター」。1991年にアメリカで誕生し、現在は、欧米8カ国の小売店の店頭などに、約2万台が設置されている。2018年7月には、アジアでの展開として先陣を切って日本に上陸し、ユニーが運営する総合スーパー「アピタ」で横浜市内の3店舗に先行導入された。米国・コインスター社のCEO、ジム・ギャリティ氏に、「コインスター」設置のメリットや社会的意義、日本市場での可能性などについて伺った。

米国・コインスター社 CEO ジム・ギャリティ氏

設置店舗では集客と収益がアップ 社会貢献にもつながる

「コインスター」とは、硬貨を紙幣やレジで使える引換券に変えられるマシンだ。家庭から持参した硬貨をマシンに投入すると、素早く合計金額を計算して引換券を発行。消費者は発行した引換券を紙幣に換えたり、そのまま買い物の際にレジで使用できるという仕組みだ。

 1991年にアメリカの学生が開発し、1992年にサンフランシスコの食品スーパーに1号機が設置された。1996年には設置台数が1,000台を突破するなど普及が進み、「食料品スーパーから設置の要望が相次いで、マシンの製造体制の整備が課題になるほどでした」とギャリティ氏は振り返る。

 なぜ、それほどまでにコインスターが注目されたのか。ギャリティ氏は、その理由について、「食料品スーパーで、買物ついでに硬貨を紙幣に交換できるので利便性が高く、使い方もシンプルなので気軽に利用できる。また、消費者は換金できることでその店を選んで来店し、換金した紙幣を使ってその店舗で商品を購入する確率が非常に高いという、設置した店舗側へのメリットもあります。しかも、眠っていた硬貨が予想以上の金額になっていたことに喜び、店舗で使う金額も多くなる傾向にあるのです」と、消費者・店舗双方のメリットが大きいことをあげる。

 

 それでいて、設置店舗は設置スペースを提供するだけで、設置や運用のコストは不要。逆に、利用に応じた金額をコインスター社が設置店に支払うため、店舗の収益にもつながる。

 そして、もうひとつ大きいのが社会的意義だ。消費者が硬貨を溜め込むと、流通する硬貨が不足するため、政府は新たに硬貨を作らなければならない。「コインスターで硬貨を再流通させれば、硬貨の製造コストや製造に必要な金属資源の無駄使いを防ぎ、社会貢献にもつながる」とギャリティ氏。

 ちなみに、アメリカではおよそ500社の約1万7,000カ所にコインスターが設置されており、政府が年間に製造する硬貨量の約4倍が、コインスターにより市場に戻されている。

現金大国の日本は、コインスターの潜在需要が大きい

 同社が日本市場に着目した点について、「日本は世界第3位の経済大国だが、現金大国でもある。眠っている硬貨も多く、硬貨の流通・循環にコインスターが寄与できる余地が大きい」とギャリティ氏。

 同社が2018年に実施した「日本の現金・小銭の保有状況に関する意識調査」によると、調査対象者の約6割が「家に小銭を溜め込んだ経験がある」と回答。消費者の家に眠ったままの硬貨は平均1万3455円に及び、中でも60~70代は平均2万円以上の硬貨を溜め込んでいることが分かった。そして、約7割の人は「小銭が溜まると煩わしい」と感じており、約4人に1人が小銭を銀行で紙幣に両替した経験があると回答している。この結果から、溜め込んでしまった硬貨の使い道に頭を悩ませている人が多いことが伺え、ギャリティ氏が感じているように、日本におけるコインスターの潜在需要はきわめて大きいといえる。