店内25坪・50席、2人席が中心となって構成されている

 居酒屋業界は今、シビアな状態にさらされている。それは、消費者が価格の変化と商品の価値観に非常の敏感に反応するようになったということ。値上げをしたとしても、商品に新しい付加価値が感じられないと、お客さまは減っていく。そして、人材不足。働きたい店として人材が集まってくる店もあるが、多くは十分な確保ができずにQSCの維持に腐心している。こうした状況を乗り越えるべく展開を開始した居酒屋の新業態がある。

3人体制で運営できるオペレーション

「やきとり魁」の1階入り口。「せんべろスタンド」をうたっている

 鶏料理専門店の「てけてけ」を展開するユナイテッド&コレクティブ(本社/東京・六本木一丁目、社長/坂井英也)では11月22日、新宿の歌舞伎町(東京)に“せんべろスタンド”を標榜する新業態「やきとり魁(さきがけ)」をオープンさせた(せんべろとは、1000円でべろべろに酔えて楽しめること)。

 この店の狙いは、将来の成長を見据え、まさに冒頭に記した「居酒屋業界の課題」を克服しようとするものだ。

 ここで同社について簡単に紹介しておくと、ユナイテッド&コレクティブは2017年2月に東証マザーズに上場しており、これまで「てけてけ」とハンバーガーの「the 3rd Burger」(以下、サードバーガー)の2つのブランドに整えて成長してきた。現在は、約90店舗を擁し、そのうちサードバーガーは6店舗と、業容のほとんどが居酒屋である。

主力業態「てけてけ」の店内
てけてけ「焼き鶏の盛り合わせ」594円
「the 3rd Burger」の店内
the 3rd Burger「the 3rd Burger」550円


 さて、今回、紹介する新業態だが、歌舞伎町の店は地下1階の25坪・50席。店に入り、階段を降りると正面にカウンターがあるが、ここに置かれているのがiPad2台。

 お客さまはそれに表示されるメニューにタッチしてオーダー。そこで精算をするとベルが渡されるので、自分の席を確保して商品の出来上がりを待つ。ベルが鳴ったら、先ほどのカウンターに商品を取りに行く。食事を終えたら容器などを返却コーナーに持って行くという仕組みになっている。

 フードサービスとしてはテーブルサービスを行わない、フードコートのサービスと同等で、現状は3人で運営できる体制となっている。

テーブルサービスを止め、客単価2000円以内に

フードメニュー全体のイメージ

 同店を開発した経緯について、同社代表取締役社長の坂井英也氏が解説してくれた。

「当社では居酒屋で多店化できるブランドとして『てけてけ』を展開してきました。この業態は客単価2300円で、これは商品のクオリティとテーブルサービスを維持していく上でギリギリの低い客単価だと思っていました。しかし、これでは家族4人で来店した場合、1万円になるわけです。厳しい市場環境を考えるとお客さまにとっては気軽な存在になっていないのではないか。われわれも意識的に価格の上げ下げをしてみたときに、客数が上がっても収益を上げづらい。これはテーブルサービスに起因するのではないかと考えていました。そこで何とか客単価2000円を切って、収益面を満足させながらお客さまの新たなニーズを生み出す業態ができないものかと考えてきました」

 では、フードコートスタイルのこの新業態はどのようにして誕生したのか。

「焼き鳥を焼くことは2005年にスタートさせた『てけてけ』からずっと行ってきたこと。このノウハウに、2012年から展開している『サードバーガー』というファストフードのノウハウを融合させる形で、テーブルサービスを排除し、単価を下げて新たなお客さまのニーズをつかもうと考えました」

 1号店を歌舞伎町にしたのはなぜか。

「ここの物件は、もともと『てけてけ』の案件として挙がってきたものですが、当社が新しい試みを行って世に問うときに、『歌舞伎町』はそれにかなっているのではないかと考えました。歌舞伎町はインバウンドも増えてきていて、近くに名所となっているロボットレストランもある。このような環境が整っている歌舞伎町で新しい試みをすることは、それにかなっているのではないかと思っています」