ロボ接客では不快感を覚えない

ビニール傘の自動販売機にもロボットがいる

 宿泊してみて、ロボットによる「ロボ接客」では、一定のクオリティが保たれるために不快感を覚えにくいことに気付きました。むしろ、その対応を逆手に取って、クレーム防止やエンターテインメントまで昇華させているとすら感じられました。

 人間による接客では対応の応用力が利く半面、人によって異なる案内や言葉遣いがしばしば問題となります。

 つまり、マニュアル的な接客をするだけなら、もはやロボットに変えてしまっても何の問題もないともいえます。初期投資やメンテナンス費用こそ必要となるものの、一度導入してしまえば基本的には人件費が大幅に節約できることは、サービス業やリアル店舗にとって大きな魅力ともいえるでしょう。

 では今後、人間の接客には、何が求められるのでしょうか?

イレギュラー対応と手作業が肝

エレベーター内にも室内と同様の案内内容を掲示。朝食会場や有料サービスなどの重要情報はお客さまの見逃しを防ぐ効果が

 1つがイレギュラー案件の対応です。例えば、この施設では有料で最新のVRゲーム機のレンタルサービスがありますが、頼むときにはロビーのフロントにて電話をかけて、人間のスタッフに部屋まで持ってきてもらう必要があります。

 また今回、事前に駐車場について質問の電話をかけましたが、こちらももちろんロボットでなく人間が対応してくれました。

 タッチパネルやロボットが使用できないケースも含め、こうしたマニュアル外の質問・問い合わせ応対は、やはり人間が直接対応することが必要となってきます。サービス業で働く人を獲得しづらい昨今、良くも悪くも、「想定外のサービス」を行うのは人間になっていくでしょう。

世界観を意識した洞窟造りの朝食ビュッフェ会場では、唯一人間のスタッフが働く姿が見られました

 ちなみに宿泊中、私が人間のスタッフを見たのは朝食会場の3人だけです。彼らが行っていた仕事は朝食の受付、フードの残状況チェック、ドリンクや紙ナプキンの補充。現在、ロボットは「人間の手」の動きを再現することが最も難しいとされているため、こうした細かな動きはまだまだ人間が行うことになりそうです。

朝食会場(1枚目)と受付(2枚目)の黒板。手書きの文字やイラストがあることで、「無人接客」の工夫が見られます。人間による「おもてなし」が感じられるメリットも

 またスタッフの1人が、子連れの私たち家族を見て好意で「ホットケーキはいかがですか?」と声を掛けてくれました。こうしたお客さまに合わせたサービスも、ロボットではまだ難しそうです。

 現在、リアル店舗では現場の人手不足が顕著です。対応の待ち時間が長かったり、プロとしての商品知識が十分ではなかったりと、店頭で残念な気持ちになることも少なくありません。そうであれば、いっそマニュアル的な接客はロボットに任せてしまい、人間はマネジメントやロボットにはできないサービス面に注力していくべきなのかもしれません。

朝食会場の床には恐竜の足跡があり、遊び心も感じられます

「接客」は「お客さまに接する」と書きます。ただしその意味は、昔と大きく変わってきているように感じています。

「お客さまが、本当に望むことは何なのか? それは本当に、人間がやるべきサービスなのか?」

 接客のほとんどない「変なホテル」に宿泊して、そんなことを強く考えさせられました。