政府の消費税増税対策はまるで行き当たりばったりのように方針がころころと変わっています。当初ポイント還元は2%の予定でしたが、11月26日に発表された消費税増税対策の基本方針では「キャッシュレスレジ決済時のポイント還元を5%にする」と増額されました。

 還元期間は増税が始まる2019年10月から東京オリンピック開催前の20年6月までの9カ月間。対象商品は税率10%の商品だけでなく、軽減税率(8%)の対象となる飲食料品も含まれ、対象事業者はキャッシュレス決済ができる中小小売店や中小飲食店等。

 コンビニやファストフードなどのチェーン店では、個人が経営するフランチャイズ店は中小事業者なので還元対象。大手企業である本社が運営する直営店は対象外ということでした。

 ところが、12月12日には、コンビニや飲食店などのチェーン店は「5%ではなく2%の還元にする」と元に戻りました。これは「大手企業の直営店とはいえ、9カ月間も5%の値引きを負担するのは厳しい」「5%も還元すると、買物がコンビニや飲食チェーン店に集中する」という批判が高まったからです。

 しかし、この方式にすると、消費税率は商品(飲食料品と非飲食料品)や売り方(テイクアウトかイートインか)、店の形態(中小事業者かチェーン店かそれ以外の大手か)によって、3%、5%、6%。8%、10%の5種類に分かれることになります(図表①参照)。

 

 当初は10%と8%の2種類の複数税率でしたが、これでは5種類のしかも増税と減税が入り混じる複数税率になります。複数というより、「複雑税率」と言えるもので、消費者はもちろん、事業者も大混乱するでしょう。

 

 例えば、白菜1束税抜き298円、トイレットペーパー12ロール298円とします。この白菜やトイレットペーパーは、それぞれの小売店ではどんな表示で販売されるでしょう(図表②参照)。

これで本当に効果がある政策と言えるのか?

 同じ値段の商品でも、飲食料品か非食料品か、現金かキャッシュレスか、販売店が中小かコンビニか大手かによって税率が変わるのです。こうなると、店側としては消費者にどう説明するのか工夫が必要になります。

 消費者は税抜きではなく税込み価格(実際の支払い総額)で値段を比べます。

 ポイント還元がされないスーパーマーケットでは10%と8%の区別だけを表示(告知)することになりますが、それでは税率の違うコンビニや商店街との価格差を訴求できません。例えば、図表②の白菜を「288円+税」と表示しても、中小小売店やコンビニと比べて安いのか、高いのかは、すぐには計算できないわけですが、実際、この値段では「コンビニより安いが、中小小売店よりは高い」ことになります。

 一方、中小小売店やコンビニは4つの税率の違いを消費者に分かりやすく伝えなければなりません。ポイント還元は、その場で安くなるわけではないので、おそらく「298円+3%」という表示はできないでしょう。「298円+税8%、5%ポイント還元」という表示になります。

 他店との価格差を伝えるなら「298円+税8%、5%ポイント還元後307円」と、還元後の税込み価格(総額表示)を表示しなければ、安さの訴求は難しいでしょう。それでも消費者には、どの店が安いのかは非常に分かりにくいものです。

 このようにあまりにも複雑な税率体系になってしまうと、消費者にするとどこの店でどの商品が安いのかが比較できなくなってしまいます。ポイント還元があっても「よく分からないから、今まで通りの店に行こう」となるでしょう。

 ポイント還元は、本当に効果がある政策と言えるのか大いに疑問です。