宮里藍ちゃんが取り入れて一躍注目を浴びた『超ゆっくり素振り』について考えてみました。別名『太極拳素振り』(動きが太極拳に似ている)。古くはベン・ホーガン先生の時代から語られ、タイガーも取り入れていると言われる、流行のドリル(反復練習)です。

 この超ゆっくり素振りの目的を、私はスイングづくりで自覚できていない問題の発見とゴルフに必要な筋力の強化だと考えています。

 問題を問題として認識できるというのは、ゆっくり素振りすると、どこからどのように動くのかを意識していない自分に気付くから。スイングのあるべき姿を描けていないことを認識するのです。

 これはビジネスも同じ。あるべき姿を描いておかないとそこへたどり着くために必要な問題解決項目が分かりません。問題を問題として認識すること、大変大事です。そして、難しいです。

自覚できていない細かい問題を発見できる!

 初めて超ゆっくり素振りをすると『自分はどこから動くのか? 何を意識することが正しいのか?』という疑問が細かい場面で生まれてきます。今まで、何気なくスイング、素振りしていた自分に気付きます。

 今回は場面ごとのチェックポイント、形、意識等の仮説を示します。あなたも10〜30秒かける超ゆっくり素振りを実践して、自覚できていない細かい問題をじっくり探してみましょう。

 実はこのチェックポイント、毎年変化します。超ゆっくり素振りを実践して、そして勉強するからです。このように言葉にするのはもう10回目になります。

①始動:前傾・肩/腕の三角形・手首の角度を維持したまま、両肩の右への縦回転で始動します。そのとき、両膝(特に右膝)は動かさず、腕には力を入れません。肩が回転するのみです。腕は上げるのではなく、肩の縦回転につられて動いてしまう感覚です。

 この感覚はヘッドの動きで確認できます。肩回転のみで腕に力が入っていないと、シャフトが先に動き、ヘッドが遅れて動き始めます。このとき、フェイス面は閉じようとします。クラブの重心位置がシャフトの延長線ではなく、フェイス面上にあるからです。

②ビジネスゾーンへ:前傾・三角形を維持したまま肩が回り、シャフトが地面と平行、飛球方向と一直線になります。このとき、フェイスはまで閉じ気味です。腕もまだ力が入っていません。回転のために力が入っているのは肩だけ、下半身を安定させるため腹筋、膝、足親指の付け根にも力が入っています。アドレスで作られた手首の角度は維持されています。

③トップへ:前傾が維持されたまま、左肩が縦回転し、顎の下にきます。この先は腕に力を入れないと回転を維持できません。左腕は伸びたまま上がっていきますが、右腕は折りたたまれ、右肘は締まってきます。また、左肩の回転とともに右腰が横回転します。ここがトップです。右膝は動いていません。ビジネスゾーンで出来上がった左手首の角度も維持されています。トップでのシャフトの状態は体の柔軟性・筋力で異なります。無理したトップはつくりません。

④切り返し:ここではベン・ホーガン先生の『バックスイングで既に切り返しは始まっている』の言葉を強く意識しています。

 これ以上、肩、腕が回らないと思った瞬間、腰の左横への小さいスライドが始まります。腰が動くことで腕が落ちてきます。このスライドは「頭は残っているが、体重が右足親指の付け根から左足親指の付け根に移動する感覚」です。「腕は落ちようとするが、手首・クラブは残っている感覚」ともいえます。腕は落ちようとするが手首は残ろうとするため、あたかも両手の親指の付け根に棒が当たったかのようになり、反動で手首が親指側に折れ、自然とコックが発生してしまいます。するとクラブは寝てヘッドが残され、なかなか落ちてこない感覚になりです(いわゆる「タメ」です)。腕で振ろうとするとこの感覚を感じることはできません。

 この結果、バックスイングで作られたヘッドの円軌道より、切り返し後のヘッドの円軌道は内側で小さいものとなります。

⑤インパクトへ:腰のスライド、右腰の押し込みはありますが、べた足の感覚です。落ちてきた腕/手首が右腰を通過する辺りで、手首の返しが始まります。ここで「我慢の解放」です。この返しは右手首は親指側に押し込む感覚、左手首は角度維持をしたいため、左腕前腕を外側にターンする感覚で、実はほとんど手首は返っていないのです。

 この結果、ハンドファースト、ダウンブローとなります。腕/手首が右腰/右肩を追い越し、インパクを迎えた後、両腕が真っすぐ、低く伸びる感覚です。この両腕が伸びる感覚がないと左手首が外側に折れ、弱々しいインパクトとなってしまいます。

⑥フォロー:右肩が縦回転して右顎の下付近まできます。フォローの始まりです。前傾を維持するため、飛球方向を右目で、下からなめるように見ます。両腕が真っすぐ伸びる感覚は維持します。この辺りで右足が上がり、腰の回転が始まり、自然と左肘のたたみが始まります。この腰の回転が早過ぎるとスライス、遅過ぎるとヒッカケになります。

 スライスする理由はフェイスが開き過ぎること。ヒッカケになる理由は腰の回転開始が遅いと左肘の居場所がなくなり、左脇を開けざるを得なくなるからで(いわゆる「腹切り」です)、肩が横回転をしてしまいます。ずっと左手首の角度は維持していたいのです。

 このチェックは普段の素振りではできません。超ゆっくり素振りだからできることです。アマチュアのハンデの数はその人が解消しなければならない問題の数ともいえ、いつも私はその半分はこのチェックで見つかります。

 皆さんも、自分の言葉でそれぞれの場面でのスイングのあるべき姿を作ることをお勧めします。そして、毎年見直しすることも提案します。