ペットと一緒にプライベート・ジェットに乗るお客。

 ペットを飼っている人の悩みとして『旅行の時にペットをどうするか?』という問題がある。友人に世話を頼んだり、ペットホテルに預ける……などあるが、一抹の不安が残る。「だったら一緒に旅行すればいい」ということで、プライベート・ジェットなどを利用してペットと一緒に旅行できるサービスが、香港で注目を浴びている。

ペットブームに沸く日本と香港 香港は10年で約1.7倍に

 2018年9月、調査会社「ウェルスX」は3000万米ドル(約33億円)以上の資産を保有する「超裕福層」の数について発表し、香港は1万人で世界一に輝いた。2位はニューヨークの8900人、3位は東京の6800人だ。香港はニューヨークや東京よりも人口が少ないうえに土地も狭いので、スーパーリッチが本当に多いという皮膚感覚がある。

 これは、裕福層を対象にしたビジネスが数多くあることを意味する。その中で登場したのが、ペットと一緒にプライベート・ジェットで旅行するというものだ。これは「Pet Life Group」という会社の傘下企業「Life Travel」という旅行代理店が「Pet Travel」という名前で行っている。

「Pet Life Groupはペット病院、ペットフードの輸入、グルーミングの学校を運営するなど動物関連のビジネスを20年以上行っている会社です。当社のオーナーも犬を飼っていますが、旅行のときにペットを預けなければならないという悩みを抱えていました。あるとき、友人にプライベート・ジェットでの旅行に誘われ、それに参加した体験と、自分のペットへの思いが結びつき、このアイディアが生まれました」と同グループのマーケティング・ディレクター、エディ・ライ氏は言う。

 日本では猫の推定飼育数が犬を上回るというニュースが話題になったが、その犬を含めて日本はペットブームに沸いている。香港も同じで、香港政府獣医管理局が2017年5月に発表したデータによると、2015年から16年にかけての推定飼育数が、犬が29万7500頭、猫が21万3100頭の計51万600頭に達した事が明らかになった。2005年の犬と猫の合計数は29万7100頭だったことから10年間で約1.7倍に膨れ上がったことになる。2019年にはさらに6.9%増加して54万5600頭になると予測している。

「ある意味ニッチな産業ですが、ペットの数は確実に増えています。まだ始まったばかりのビジネスですが、既に50%以上のペットの飼い主が私たちの存在を知っています。当方ではプライベート・ジェットの利用のみならず、キャセイパシフィック航空を使ったツアーも用意しています」

プライベート・ジェット内での様子。
ペットと一緒にこんな遊びも。

 費用はキャセイを使う場合とプライベート・ジェットとでは料金が異なり、5万香港ドル(約73万円)から20万香港ドル(約290万円)と幅広い。広告をみると、2019年11月28日から12月4日の関西行きの6泊7日程では、2人1犬、キャセイ利用で7万9800香港ドル(約116万円)だ。比叡山、甲賀忍者村、伊勢神宮、三井アウトレットパークなどを回る。宿泊先はレジーナリゾートびわ湖長浜など2カ所だ。

「プライベート・ジェットになりますと、ほぼカスタムメイドの旅行となります。大体10~14人のお客が利用します。2017年に初開催となり、これまでに約140人が利用しました」

 行き先は、北海道、東京、関西、沖縄の4カ所のみ。ライ氏は「日本が一番ペットに理解があり、民間のみならず、関係省庁や自治体の協力も得られやすい。もちろん、香港人にとって日本が一番人気の旅行先であるということもあります」と話し、「次はロンドンとハワイに広げたい」とした。

 ペットを連れての宿泊となると、理解があると言われる日本でも制限はあるが、ペットを同行できる行先のみをお客に提案する。「ペットOKのホテルは200軒ありますし、ショッピングモールや公園などにしてもペット連れ込み可能なところを押さえています」とライ氏。

 日本政府観光局(JNTO)の香港事務所の元上席次長で、現在香港でJapan Tourism Research & Consultancyというツーリズムの関連会社を経営している清水泰正 代表取締役は「個人旅行化が進んだ香港では、旅行会社が集客に苦戦しており“ペットを連れて”など、個人では手配が難しい旅行スタイルの拡大が見込まれます。少子化の香港のペットにお金をかける傾向も追い風」と見解を語る。

 ちなみに猫の旅行は、猫という動物の特性からほとんど引き合いがなく、ツアーは実質犬のみだという。