厳しい状況「前年8掛け」「クリアも負け越し挽回できず」

 成熟社会となった現代には、単純に価格を下げたからといって急いで買うような生活者はいなくなってしまった。

 そのため、今年も確かに期間中の気温はおおむね例年並みだったとしても、それまでに経験してきた暖冬感を拭い去るほどまでには至らなかったよう。降雪や積雪でもない限り簡単には、この暖冬感は拭えないということだろう。

 今年のブラックフライデーも私の聞き及ぶ限りでは「前年の8掛け」や「前年をクリアしたものの、それまでの負け越しを挽回するにまでは至らず」などと、全体感として厳しい結果を耳にするところが多かった。

 最早、売り手が買い手をうまくコントロールしていくのは並大抵なことではない。ブラックフライデーだからといって単純に踊るお客は少なく、そこにはこのイベントを利用して必需品をまとめ買いしようとする堅調な消費傾向が見える。

 となると、ブラックフライデーでも売り手にとっては大切になるのは「自店にお客を呼び込むための施策と、せっかくの来店機会を逃さず、欠品による売り逃しを避けること」となる。特にサイズ・カラーの欠品は、売り手が現場視点だと見逃されやすく、他店への乗り換え機会をみすみす提供してしまうので、何としても避けなければならない事態だ。

重要なのは「セール後の戦略」だ!!!

 もう1つ、対応が必要な課題が「セールスイベント後の売上げ、来店客の減少問題」。イオンでは購入客全員にイベント後の週末3日間限定の食品にも使える5%OFFのクーポン券を配布、対策とした。

 中国では流行語の1つに「吃土」というのがあるそうだ。そもそも土を食べるという意味で浪費がたたって食費もままならない状態を指す言葉で、貯め込んだお金を「独身の日」に吐き出して、来年に向けて再びお金を貯める。つまり需要の先食いとその後の買い控え現象を表している。

 

 そこで、日本の「11月」単月の消費支出を過去にさかのぼり、まとめてみた。この表が示す限り、ブラックフライデーというセールスイベントでアパレル全体の消費を押し上げたとはい言い難いが、取り組まなければ他店に取って変わられると、早々に見切りをすると建値販売の期間が短くなってしまうと、対応が難しい。

 となると、今、とれる正解はこれか。

「集客が見込めるセールスイベントなので、『目玉商品となり得る政策的に開発する商品』『それまでの販売推移を見て思いきって見切る商品』『建値のまま販売継続していく商品』と、競合対策も考えた上で、それぞれの属性を考えた打ち出しや売場レイアウトで挑んでいく。そしてブラックフライデーをきっかけに足を運んでくれた生活者に、引き続き来てもらうための仕掛けをあらかじめ仕組んでおく」

 12月7日からはアマゾンが仕掛けるオンラインセールスイベントの「サイバーマンデー」がスタートし、さらにクリスマス、歳末、年明けセールと長い長いセールが続いていく。

 この長いセール開始の号砲ともいえるブラックフライデーは、セールスイベントとしてこれからも浸透、定着化していくのか。単に需要の先食いとして終わってしまうのか、セール後の戦略も今、問いただされている。