イラスト/永谷せん

ヒトの心は不思議がいっぱい。それを探るのが心理学。心理学は実践の科学です。実際に使えば理解も早いし応用も利くようになります。ご紹介する心理テクニックは現場で役立つことばかり。ぜひ使って販売力をUPさせましょう。

 アップルの創始者、故スティーヴ・ジョブズは自社の新製品を魅力的に紹介する名プレゼンターとしても有名でした。

 その著書『驚異のプレゼン』によると、ジョブスさんは話し始めるときにまず「今日は3つのことを話します」と断ってから聴衆に語りかけるのだそうです。そしてそれを『3点ルール』と呼んでいました。

 なぜ3つに絞るのか。それには、大脳生理学、心理学、統計学的な理由があります。

 まず、人が短期記憶で保持できる情報は3つか4つがいいところだということ。それ以上話をしても無駄になるし、聞き手もくたびれてしまいます。それに、せっかく記憶した情報も曖昧になってしまいます。

 また、数字には心理的に「絶対的で揺るがない」イメージと「客観的」なイメージがあります。だから、数字で示されると納得しやすいのです。

 そのせいか、ことわざには「石の上にも三年」「三度目の正直」「三人寄れば文殊の知恵」「女三人寄ればかしましい」……と、"3"がよく使われていますよね。

 しかも、3という数字は“座り”がいい。1つじゃ物足りないし、2つだと相反する情報の場合、を信用していいのか判断に迷ってしまいます。

 その点、3つだと第三者的視点が生まれるので判断もしやすく納得もしやすいのです。

 それに、話が3つに整理されているので、論理的で知的(頭が良さそう)という印象を相手に与えることができます。だからこそ説得力が増すんですね。

 そして、統計学的にも、1つよりも2つ、2つよりも3つ証拠があった方が説得力がどんどん増していくのに、4つ以上になるとその説得力の増し方がどんどん鈍ってしまうのです。

 つまり、証拠は沢山あればあるほどいいというわけではないということ。証拠をそろえるのなら3つで十分だということです。

 それをわきまえてのジョブスさんの『3点ルール』だったんですね。だからこそ、名プレゼンターの名を欲しいままにしていらっしたのではないでしょうか。

 ビジネスでは、説得力が特に重要です。

 職場で同僚と話をするときも、自分の意見を相手に通せるかどうかは、説得力のあるなしにかかってきます。誰もがうなずくような話し方は、社会人として身につけたい重要なスキルだということです。

 あなたもジョブスさんを見習って「理由は3つあります」を決めゼリフにしてみませんか。もちろんその3つの理由は、前もって整理して考えておく必要があります。

 どの3つにすればいいのか、思い悩む人がいるかもしれませんが、商品に自信があり、その素晴らしさをお客さまに納得させたいという意欲があるのなら、理由を3つ挙げるのは難しくはないはずです。

「お薦めするポイントは3つあります。まずデザイン、そしてカラー。3つ目、それはお客さまにピッタリだということです」

 ね、3つ理由をそろえるのってそれほど難しくはないでしょう。

 本当に理由が3つあるかとうかは重要ではなく、3つにまとめてしまうことが重要なのです。この3ポイント説得法、ぜひ一度あなたも現場で試してみてください。