akippa(株) 代表取締役社長 金谷元気
 かなや げんき●1984年大阪府生まれ。akippa(株)代表取締役CEO(本社:大阪市西区西本町1‒2‒1 AXIS本町ビル9階、従業員数69人・アルバイト含む)。高校卒業後より4年間、Jリーガーを目指し関西リーグなどでプレー。引退後に上場企業にて2年間営業を経験し、2009年2月に24歳で起業。14年に駐車場予約アプリ「akippa」をリリース。15年にテレビ東京「ガイアの夜明け」などで紹介され、各種メディアでも掲載実績がある。16年12月にはトヨタ自動車と提携しファンドを通じて出資を受け、現在までに日本郵政キャピタルやグロービスなどから総額約24億円の出資を受けている。日経ビジネス「2017年 次代を創る100人」にMLBのロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手(当時は北海道日本ハムファイターズ)や、ソフトバンクグループの孫正義代表取締役会長兼社長とともに選出された。

★講座は2019年2/20(水)16:40 ~ 18:00の予定

 

社員全員で出し合った「生活していて困ること200」から生まれた駐車場シェアビジネスは、大手企業との連携を経て過疎地の「移動難」解決へ

 高校卒業後、私の目標はサッカーのプロ契約だったのですが、とにかくサッカーで生計を立てようと、高校生のサッカーのコーチをしていたとき、1日の練習が2時間、週3回で月給が6万円でした。

 そんな中、どうしたってもっとお金が必要なので、百円均一ショップで傘を10本買って、雨に濡れている人に300円で売ったりしましたが、そのうちに「商売は面白いな」と感じるようになりました。

 それでそのころ、サイバーエージェントの藤田晋さんとか、ライブドア(当時)の堀江貴文さんといった経営者の本を読んで、「もし自分と同じ年代の大学生が卒業する22歳までにプロ契約できなかったら起業しよう」と思うようになり、最終的にその年までに契約できなかったので起業を考えました。

 それでまず2年間、上場企業に勤め、24歳の時、2009年2月に大阪で1人で携帯電話などを売る会社をつくりました。設立時の資本金は5万円、最初は知り合いを入れていましたが、2年後には新卒採用を6人入れ、創業2年半で社員は20人を超えました。

 ところが、そのころの私は営業数字しか見ていなくて、そのせいで現実には無理な営業もありました。

 創業から4年たったころ、クレームが大量に発生、ここで「自分たちのやっていることは世の中のためになってない」と思い知らされます。

「停電」がきっかけで方向性が定まった

 弊社の取締役である松井(建吾氏)からも、「この会社のビジョンは何ですか?」と言われて、そのことについて考えているときに、偶然、停電を経験したんです。

 それで改めて「電気ってすごいな」と、「電気みたいに、世界の人たちにとって必要不可欠なサービスをつくりたいな」と思い、そこから「“なくてはならぬ”をつくる」というコンセプトで、当時のメンバーで「生活していて困ること」を200個出し合ったんです。

 その中から今のakippaのビジネスアイデアも出たのですが、それ以外にも「独身の人が仕事が忙しくて洗濯する時間がない」「飲食店の余った食材が捨てられていてもったいない」「ゴルフを学びたいが、レッスン料が高くて学べない」といった「困った」問題解決のサービス案も考えました。

「洗濯」は、家から会社に行く途中で、登録している主婦が家の前に洗濯物回収バッグを置いておき、そこで洗濯物を受け取って、次の日の夜までに洗濯して返すというもので、利用者は安い値段で洗濯ができて、主婦の人は家に居ながら稼ぐことができるというスキ
ームです。

「飲食店の余った食材」は、余った食材で作るメニューを考えて、それを作るところまでは飲食店でやって、料理の配達はこちらが手配した個人がやるという、「余り物メニューの出前サイト」です。

「ゴルフ」問題は、「ゴルフが苦手な2人組と得意な二人組をマッチングする」というビジネスで、素人の人はコース代を払って、18ホールのレッスンを1万円くらいで受けられる。一方、うまい人たちは、教えることで無料のゴルフプレーを楽しめるというサービスです。

 
akippaのビジネスモデル/akippaのビジネスモデル図。個人間で、スマホ・PCを使って“駐車場の貸し借り”を実現、駐車場を借りる「ユーザー」と駐車場を貸す「オーナー」をマッチングしている。ユーザーはスマホアプリの地図上に表示された登録駐車場の中から止めたいところを選んで予約、駐車する。

 と、そんなさまざまな「具体案」の中から13年9月、今の「駐車場シェアリング」の構想が固まっていったということです。

 このビジネスに決めた要因は、1つ目が、国内の自動車保有台数約8000万台に対して、コインパーキングは約470万台しかなく、「困っている人」が多いという事実でした。

 貸し駐車場不足の結果、大阪府と東京都では1秒当たりの路上駐車台数は合計約9万4000台(東京都6万3000台、大阪府3万1000台)にまでなるという調査結果もありました。このうちの半分の人たちが、「駐車場が満車だった」「駐車場がなかった」という理由なわけです。

 2つ目の要因は、「駐車場ビジネスは5兆円の市場規模がある」といわれているのに、顕在化しているものがわずか3000億円であり、上場企業は6社くらいあって、その全てが増収増益、要は駐車場を増やせば増やすほど儲かるということです。「需要に対して手つかずの業界なんだな」と思いました。

 3つ目は、供給側の問題で、「駅前駐車場」や「マンションの駐車場」「空き地」などのうち、3割くらいの駐車スペースが空いていて、その生かし方をオーナーさんが模索していたという現実がありました。

 だから、理由の2つ目の市場で、理由の1つ目と3つ目をマッチングさせれば「なくてはならぬ」問題解決型のビジネスを展開できると思ったんです。