昨今、クリティカルシンキングの要素にゼロベース思考がありますね。簡単に言うと、これは今まで前提としていたことを排除、ゼロから考え、白紙で問題に取り組むこと。

 しかし、そもそもゼロベースは予算編成の考え方の1つでした。

通常とゼロベースの予算編成の違い

 通常の予算編成では前年がベースになります。前年実施したことがベースとなり足し算、引き算で売上予算、荒利予算、経費予算、利益予算がシミュレーションされ、予算が出来上っていきます。

 一方、ゼロベースでの予算編成では、その年度に何をやるのかが議論され、その結果、作れる付加価値(売上高、荒利高)を試算、それに必要な経費を見積ります。このプロセスを繰り返し、売上予算、荒利予算、経費予算、利益予算が積み上げられます。このときの付加価値の予想は難易度が高く、経費予想は難易度が低い特徴があります。

 言い方を変えると通常の予算編成では数値を先に決め、その後、行動が決まってきますが、ゼロベースでは先に行動を決め、その後、数値が決まってくることになります。ゼロベースの発想が紹介されたころ、企業では『行動』が先か、『数値』が先かをよく議論されました。

ゼロベースは役所にこそ必要

 ひと頃、『行政改革』と称して、役所の仕事が見直されました。うまく進行した役所と失敗した役所がありましたが、このゼロベース発想の徹底具合が理由と言われています。

 皆さんもご存じの通り、年明けの1月、2月、3月になると、道路工事が多くなりますね。これは、年間予算で確定している金額を消化し切らないと次年度に同額の予算を取れないため、何とか年度内に予算を使い切ろうとして無理矢理、道路工事をしているのです。

 役所の予算編成は前年がベースとなり、足し算で予算の取り合いをしています。役所は付加価値(売上高、荒利高)を試算する必要がないので、経費予算の取り合いとなるのです。

 ゼロベースは行動が前提となるので、本来であれば、役所の経費予算編成に一番適しています。前年を白紙にし、該当年度にどんな事業行動をとることが必要なのかを検討し、必要な事業行動だけに経費予算をつけ、積み上げていけばいいのです。

 しかし、『行政改革』がうまく進行しない理由は、ゼロベースで予算編成していくと、今まで既得権のように工事予算をもらっていた企業が軒並み売上縮小し、倒産しかねない現状があります。ここに難しい問題があるのです

ZBとZDは違います

 ちなみに、ZB(ゼロベース)とZD(ゼロディフェクト)は違います。ZDは小集団活動の1つで、「ディフェクト=失敗」をゼロにしようという小集団活動です。