ロード&テイラー五番街本店レディス売場(筆者撮影)

アマゾンがコールズにミニストアを出店、店舗返品も実施

 10月18日、コールズ百貨店のロサンゼルスおよびシカゴの計10店舗内に1000sq.ft.(約93m2)の「アマゾン・エクスペリエンス」ミニストアがオープンした。

 アマゾンのエコー、キンドル、ファイヤータブレットなどを売るショップで、販売員はアマゾン社員、いわゆるインショップ形態だ。

 しかし、取り組みはこれだけではない。コールズはアマゾンの返品(注1)を受け取る専用カウンターも開設。こちらはコールズ社員が対応し、返品商品をパッキングしてアマゾンの返品センターに送り返す業務まで行う。また、駐車場のカウンターに近い場所もアマゾン返品客専用に確保した。

「自前よりも既存売場の利用」に合理性を見いだした?

コールズ百貨店内アマゾン・ミニストア(コールズ社提供)

 アマゾンの実店舗拡大戦略は2015年に自社書店を出店して以来、今年に入って急速に拡大している。6月に家電ベストバイで規模は40sq.ft.(約3.7m2)と小さいが700店舗でインショップ展開を開始。8月にはホールフーズ・マーケットの買収が完了し、現在473店舗(米国内約450店)の店頭ではあちこちにアマゾンのロゴ入りPOPが出ている。コールズとの取り組みでは、今年のホリディ商戦までに計82店舗まで拡大する予定だ。

 アマゾンは昨年末、レジ不在の食品販売コンビニストア、アマゾン・ゴー(従業員のみ利用可のテスト店舗)を開発したが、来店客が20人以上になるとセンサーが正確に購入商品を認識できないという問題が確認され、現在、先行きは不透明なままとなっている。

 アマゾンは「自前でつくるより、既存のチェーンストアの売場を利用する」という戦略に合理性を見いだしたのだろうか。

 コールズにとってもオムニチャネル戦略でオンライン事業拡大に力を入れる一方で、不採算店舗の撤退や小型店舗フォーマットの開発に取り組んでおり、全体として床面積を減らす方向にあるので、アマゾンのインショップは渡りに船。「来店客数が減少傾向にある中、アマゾンとの提携は確実に来店客数を増やすだろう」とのことだ。

 アマゾン側にも、1 実店舗での経験提供によるアマゾンデバイス拡販、2 返品コスト削減というメリットがあると見られている。

Walmart.comにロード&テイラーのオンラインストアがオープン

 翌19日、「ウォルマートがオンライン事業でロード&テイラーとの提携を進めている」という記事がウォールストリートジャーナルに掲載された(関係筋からの情報で10月22日現在まだ公式発表ではない)。

 ウォルマートはオンライン事業では、店舗事業の顧客層より所得の高い層もターゲットにしている。同社が得意だった地方の低所得世帯にディスカウント価格を提供するだけでは、小型ディスカウンターチェーンやアマゾンとの競争の中で今以上の成長性は見込めない。やはり、アマゾンが得意な都市商圏の高額所得者をターゲットにとなると食品バトルの次はファッションということだろう。

 ロード&テイラーはWalmart.comにストアを構えるが、オーダーのフルフィルメントや出荷を含む運営はロード&テイラー側が行う。アマゾンに劣るとはいえ、全米オンライン売上高ランキング3位(注2)のWalmart.comのサイトトラフィックは大きな魅力だ。将来は、逆にlordandtaylor.comのオーダーを全米約4700のウォルマート店舗でもピックアップおよび返品を可能にする計画だ。

矢継ぎ早に進むウォルマートの的を射たオンライン事業戦略

 ウォルマートは昨年EC事業トップに任命したマーク・ロア氏が舵取りをするようになって、矢継ぎ早に的を射たオンライン事業戦略を実行している。

 まずアマゾンが力を入れているファッション部門への対抗として今春、ShoeBuy.com、ModCloth.com、Moosejaw.com、Bonobos.comのオンライン・ファッション専門店を買収し、9月にはEC事業ファッション部門のトップにサックス・フィフス・アベニューやラルフ・ローレンでマーケティング、デジタル事業のトップを務めたデニス・インカンデラ女史を採用した。

 他にもアマゾン対策としてインストアピックアップを強化するためにモバイルエクスプレス返品や巨大な自動ピックアップマシーンも導入している。