ヒット商品が軌道に乗るまでのエピソードが、毎日あちこちで語られています。それらを見ていると、私はいつも「ヒット商品は、売れるべくして売れるんだな」と感じます。

 そして、売れ方も変わってきていると感じます。従来のように純粋な口コミだけで売れるのではなく、最近売れている商品は、口コミが起きるように「仕掛け」をしています。

ベストセラー本のトレンドに思うこと

 例えば、今ベストセラーの本は、小さなコミュニティで火を付けてから人気になるパターンが増えています。

 芸能人の写真集など、発売前から予約殺到して売れる例外はもちろんあります。ただし最近のトレンドを見ていると、良し悪しは別にして、大きく話題になる前にどこかで実績を作ってから書店で販売となっている作品がとても多いのです。

 読者がいるコミュニティ―内で書店流通前の段階から販売促進法を考える、著者がサイン会で書店を回る様子を積極的に告知してイベント化している、書店ごとに付く特典が決まった段階で発売日と合わせてすぐに告知する、インターネット上で人気となり書籍化が決まる、発売前に本の中身を全文公開するなど、本の発売前から「盛り上がり」を意図的に作っているのです。

 人は同じ情報や単語に何度も触れると、自然と記憶に残り、親しみを覚えます。何度もさまざまな角度から告知し、決まった情報からどんどん流していった本と、全てを秘密にして発売当日に売り出された本では、同じ棚に並べられていたとしてもその時点で大きな差が生まれています。

 この場合、発売当日に告知した商品では、「本日発売」以外の情報量は多過ぎて受け取れない可能性も出てきます。本なら内容、作者、完成までの期間、装丁など多くの切り口がありますが、最近のベストセラーではこの複数の切り口を最大限に活用してうまく紹介している印象を受けます。

 今までなら発売前に本の中身を全文公開するなんてあまり考えられないことでしたが、「アマゾンで本を買う時代なので、ネット上で立ち読みする感覚」という声を目にして、とても納得させられました。

 売り方は、時代によって変わります。自分たちがどういった販売法を選択するかは自由ですが、こうした考え方のものが売れているということは、知っておいた方がいい気がします。