シンガーソングライターの宇多田ヒカルさんが8年ぶりに行ったライブ「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」の初日に行ってきました。長年のファンとして内容はもちろん素晴らしかったのですが、今回の運営方法や仕組みにもとても学ぶことがありました。

 これは今、働いている業界が困難な課題を抱えている人にも役立つと感じた点について、紹介します。

申し込み時の顔写真登録で転売防止

 今回のライブは、申し込み時点で事前の顔認証登録が必要とされていました。写真の登録基準は証明写真がベースで、背景が無地、ピースサインなどで顔を隠さない、前髪は眉毛にかかっていないなど、写真の登録基準をクリアして認証された人のみが申し込みを受け付けられるという仕組みでした。応募する本人だけでなく、同伴者にも同様の措置が求められていました。

 また、チケットの販売方法も多様でした。まずアルバム発売時にCDの中に挿入されているシリアルナンバーによる応募(同名義による複数応募は1応募とカウント)、一般応募(先行順ではなく抽選)、広告スポンサー関係の無料招待枠、後程追加発表された機材解放席、行けなくなった人のチケットを定価で売買するマッチングシステムがありました。

『初恋』アルバム内に、ツアーチケット先行受付応募要項とシリアルナンバーが入っていました(筆者私物)

 ちなみにファンクラブは設けられていないので、行きたい人は公式サイトや運営スタッフの情報をくまなくチェックして応募することになります。

 このような手間のかかる手法を取ったのは、転売対策とされています。チケット転売業者が良席で手に入りにくいプラチナチケットを押さえ、ファンに定価以上の価格で販売して儲ける構造は、長年音楽業界の悩みの種でした。欲しい人にチケットが行き渡りづらい点、アーティストや運営が望まない高値で売買されるというなかなか改善されない問題に、本気で取り組んだものだと私は感じました。