来店者へ「新しさ」のインパクトは示せた!

 さて、「iC」の売場の特徴だが、黒を基調とした店装、カテゴリーごとに表示されたサイン、広い通路。そして従来1350㎜だった什器の高さを1650、2400㎜に引き上げた。これにより、店頭在庫は4割増えたが、品番数は7割程度でカラーバリエーションを広げたようだ。

 この黒を基調とし、外国人モデルを使った店装は、西友が2009年頃に「SEIYU FASHION PROJECT」として強化してきた英国発の低価格PB「George(ジョージ)」によく似ている。

「George(ジョージ)」は、ウォルマートグループの当時の英国子会社ASDA(アズダ)の衣料品ブランド。世界8カ国で4000店舗展開をしていた低価格PBで英国ではスーパーマーケットの衣料品に対するイメージを大きく変えたブランドと言われたほど。しかし、現在の西友で「George(ジョージ)」をメインに据えた売場はなく、日本での展開は厳しかったのであろう。

 と、業界的な視点は置いておいて、この店装から感じられるのは高級感とファッショナブルな印象だ。ポピュラーなところだと、一昔前のZARAといったところだ。いずれにしてもある程度の幅広い年齢層に向けた売場として、来店者へ「新しさ」というインパクトは十分、示せたように思う。

「インナー主軸」は戦略としては合っている

 他に注目したいのは主軸に据えているのがインナーアイテムである点。これは今までGMSの衣料品改革としてあまり取り組めていなかったカテゴリーだ。

 単品商品としては各社、ヒートインナーや涼感インナーの独自開発に取り組んできていたが、1つのブランドとして、まとめられたことはなかった。

 本来、肌着や下着、ソックス等は日用品としてのニーズが高く、FANを獲得しやすいカテゴリーなはず。使用頻度の多さから特に日用品カテゴリーは買い替え、買い足しが期待できるということはついで買いもしやすい商品群ともいえる(獲得すべきFANのイメージ像は下の消費者分析を参照)。

 

 客離れが続くGMSの衣料品売場にもう一度来店客を取り戻すには、この日用品に近い衣料品から着手することが大切。インナー商品やホームウエア商品からお試しいただくやり方は戦略としては合っている。

「GMS改革」を進める上で重要な業態になる!

 ネットショッピングの浸透とデジタル化の波を受けて新規客を獲得するためのキャンペーン効果は年々弱まっている中で、食品フロアでクーポン券を手渡して売場への誘引に取り組んでいるそうだ。また、チラシもインナーカジュアル事業開発部で行うことでコンセプトに合ったデザインが可能となるらしく、カテゴリーの枠を超えた52週MDを組み立てられるか注目したい。

 現地に行った日はリニューアルオープンして間もなくまだ「オープン景気」と思えるような混雑振りだった。「iC」にもお客は入っていたが、周りの直営の専門店型売場は閑散としていた印象だった。

 一番賑わっていたのがストライプインターナショナルのグリーンパークス トピックで、店舗前面のOPENセールの980円テーブルに多くのお客が群がっていた(フロアMAP参照)。お客は正直なもので、お店の女性従業員の声出しも一番出ていて群集心理も働いたのかもしれないが、本来は「iC」がターゲットとすべきはずのお客も流れてしまっていたのは、気になるところだ。

 イオンのGMS改革は、非食品を部門ごとに分社するのがポイント。子供用品の「キッズリパブリック」、住居関連の「ホームコーディ」、アパレルでは「トップバリュコレクション」と専門店スタイルの業態開発を進めていく中で、あとは重複を避けながら魅力ある商品を開発、訴求していけるのか「iC」が担う責は決して軽くはない。