終戦後、当時の大蔵大臣だった池田勇人(元総理)が「所得の少ない方は麦、所得の多い方は米を食うというような経済の原則に則った方へ持っていきたい」という発言が誤解を呼び、"貧乏人は麦飯を食え"と物議を醸したように、麦飯は倹約の食事の象徴だった。

 そんな麦飯が、1年間で約60億個が食べられる「日本人国民食・コンビニおにぎり」でジワジワと存在感を見せ始めており、食物繊維を摂取でき、おいしく健康となる食として人気を博している。

 腸内環境を整える食物繊維で、特に注目を浴びているのが水溶性食物繊維。これは大麦やオーツ麦の他にも野菜、果物、こんにゃく、海藻類に含まれており、粘度が高く胃腸内でのブドウ糖の吸収速度を抑え、お腹が空きにくく食べ過ぎを抑制、食後の血糖値の急激な上昇を防ぐ。また、コレステロールを原料につくられる胆汁酸を吸着し体外へ排泄したり、大腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌などが増え、腸内環境が良くなるため、生活習慣病予防効果を得られるといわれている。

先駆けはナチュラルローソンの商品

 麦を使用したコンビニおにぎりの展開が始まる先駆けとなったのが、2012年にナチュラルローソンで発売した「もち麦入りおにぎり 枝豆と塩昆布」(125円税込)だ。

 これは人気商品となり、現在では「もち麦入り 梅しそごはんおにぎり」も含め、全国のローソンで発売、定着している。

 ローソンでは2018年3月にももち麦を使用した商品として「野菜を食べるガパオライス」「野菜を食べるビビンバ」「11種のスパイス薫るバターチキンカレー」「ココナツミルク仕立てのグリーンカレー」(各399円税込み) という冷凍食品4品を発売。この4品の2018年10月の合計販売数は約23%増(2018年4月対比)とこちらも販売が絶好調だ。

セブンもファミマも17年に追随し、商品を発売

 セブン-イレブンも2017年7月に追随し、レタス換算すると1個分 3.3g食物繊維の入った、「もち麦!もっちり梅こんぶおむすび」(120円税込み)を発売しており、定着している。

 ファミリーマートは、満を持してスーパー大麦「バーリーマックス」を使用したおにぎりを2017年は限定発売、今年度からは本格展開している。

 スーパー大麦「バーリーマックス」は、現役ボディビルダーで柔道全日本男子ナショナルチーム体力強化部門長の岡田隆 日本体育大学准教授もアスリートへの取り組みで活用。便秘による肥満や腸内環境の乱れ防止で効果を発揮し、ブロッコリーと比べて水溶性食物繊維が約6倍取れると効率的なため、減量を伴う競技のアスリートを中心に好評を博しているとの見解も示している。

 このスーパー大麦はオーストラリア産で輸入量に限りがあるが、ファミリーマートでは原材料を確保して商品化。「スーパー大麦バーリーマックス  枝豆こんぶ」「スーパー大麦バーリーマックス 梅ゆかり」の2品(120円税込み)を発売しており、この3月の発売から10月末までに累計約3500万食を販売する大人気商品となっている。

 ファミリーマートの商品・物流・品質管理本部 木下紀之デリカ食品部長によると、通常のおにぎりの女性購買率は30〜40%だが、「スーパー大麦バーリーマックス」シリーズに関しては約55%となり、有職や美意識の高い女性に支持を得られているよう。

 このことからも分かるように、コンビニの麦系おにぎりは、女性を中心に「健美食」として品揃えがますます拡大していきそうだ。

今や来店客の5人に1人が60歳以上

 コンビニの60歳以上の来店率は既に20%前後となってきており、今後も高齢者の来店が加速していくだろう。

 普段の食事から取れる健康食の麦などのスーパーフードは、人口減の中でも超高齢化の日本ではまだまだ市場拡大が期待されている。

 ローソンでは、健康関連商品の売上げが年々拡大しており、2017年も約3000億円、2018年の目標である約3500億円に向けて各カテゴリーで発売が進んでいる。

 日本人が年間1人当たり約48個食べる「国民食のコンビニおにぎり」でも、健康を意識した麦系おにぎりの販売構成比がますます伸びていくのは間違いない。