「使い捨て」は8%増、「作業用」も12%増

 日常生活のさまざまな場面で活躍する家庭用手袋。その市場は毎年、堅実な成長を続け、2013年から2017年の5年間で市場規模が1.2倍に拡大した(インテージ全国小売店パネル調査〈SRI〉調べ)。

 家庭用手袋は、タイプによって機能や用途が大きく異なる。一般的なのは、大容量で販売される極薄手の「使い捨てタイプ」で、ティッシュペーパーのように手軽に使えるのが特徴だ。一方、複数の素材を組み合わせ、指先が滑りにくいよう加工されている「作業用タイプ」は、園芸や日曜大工などに用いられる。

 直近の2018年1~9月の販売金額を前年の同期間と比較すると、使い捨てタイプは108%、作業用タイプは112%と、ともに大幅な伸長がみられた。本稿では、特に一般消費者に広く用いられる使い捨てタイプの売上げが好調な理由を探る。

 インテージ全国消費者パネル調査〈SCI〉によると、使い捨てタイプの購入金額が最も多いのは、40~60代の女性である。用途としてまず考えられるのは家事だろう。皿洗いやお風呂掃除の際、使い捨てタイプの手袋は非常に実用的といえる。

 一方、最近の好調の背景にはさらなる用途の拡大が考えられる。この年代特有の用途として考え得るキーワードは、「介護」と「白髪染め」だ。

 

介護需要で購入者と購入金額が増加している

 日本国内において、介護者の人口は年々増加し続けている。厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」によると、介護の担い手は50~70代の女性が多く、使い捨てタイプの購入金額が多い層との重なりがみられる。

 家庭用手袋は介護において、排泄介助、入浴や清拭(せいしき、体をふいてきれいにすること)、入れ歯の洗浄、軟こうの塗布など、さまざまな場面で用いられる。介護者・被介護者側の双方の衛生面を考えると、使い捨てタイプの手袋は必要不可欠だ。

 実際、使い捨てタイプの商品には「介護にも使える」と銘打つものも多い(代表的な商品は下記の通り)。データを見ても介護用の商品は購入率も購入者当たりの購入金額も伸びており、需要を取り込めていると推測できる。

 
 

 

白髪染めでも「再び、使うとき」に重宝される

 もう1つ、40~60代女性の日常における使い捨てタイプ手袋の登場シーンで特筆すべきは「白髪染め」だ。

 白髪染め市場自体は、ここ数年縮小傾向にある(インテージ全国小売店パネル調査〈SRI〉調べ)が、白髪染めの際に使い捨てタイプ手袋が使われる頻度は増えていると考えられる。というのも、使い捨てタイプ手袋の購入金額推移を「白髪染め購入者」と「白髪染め非購入者」に分けて見たところ、「白髪染め購入者」が使い捨てタイプ手袋の購入金額を大きく伸ばしているからだ。

 白髪染めを購入した際には、手に染料が付くのを防ぐために手袋も同梱されていることはあるが、再び髪染めをするためには手袋を洗って乾かす必要がある。こうした場面において手軽に使える使い捨てタイプの手袋が重宝されるのではないか。

 

広がる活用場面、今後の市場展開への期待

 使い捨てタイプの家庭用手袋は、40~60代女性の支持を得ており、今後も堅調に推移していくと考えられる。

 これからは、具体的な活用場面・利便性をアピールし、新たなユーザーを取り込むことが鍵となるだろう。掃除であれば単身者や男性も手袋を着用する機会はあり、また白髪染めに限らずカラーリングであれば若年女性にも刺さる可能性もある。「持っておくと便利」ということをうまく世の中に伝えていければ、一層の市場の拡大が見込めるのではないだろうか。

(株式会社インテージ  アナリスト 駒崎幹拓)