厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

第18話 激務人生から降りた妻・可奈子の目線

 男と女は、永遠にすれ違う生き物だ。

 私は悩みに共感してほしくて相談を持ちかけるけれど、夫は「育児が大変」という問題を解決しようとする。何度も何度も同じような内容でケンカや話し合いを繰り返したけれど、議論はいつまで経っても平行線だ。

 お金が大好きな玄汰は、パパになっても当初「ママもじゃんじゃん稼げばいいじゃん!」と言われ、仕事が好きな私もそのつもりでいた。

 現実は厳しかった。結婚を機に独立、妊娠中は1人目の出産直前までガッツリ働いたし、出産後も延長保育をフルに使って、身体と時間の許す限り日帰り地方出張も繰り返した。それでも預け先からの病欠連絡やワンオペ育児対応はやってくる。玄汰は物理的に家にいないので、いずれも私が対応するしかない。

 玄汰の地方出張中、お風呂のふたの上にまだ首の据わらない次女を寝転ばせ、長女の体を洗い、泣きながら小さな娘たちとお風呂に入ったこともあった。片時も目を離せないので自分の体はいつも適当に洗い、化粧水を塗れない顔はいつもカサカサに乾燥していた。

「何で、私ばかり……」

 自分の仕事に夢中になって、どこにだって行けて、いくらでも時間を使えて徹夜も何のそのだった生活は、全く変わった。

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 出産後も、仕事は細々と続けている。どうしてもと頼まれた昔からの付き合いのクライアントの支援や相談、雑誌の原稿執筆など、時間の融通が利く仕事が主だ。

 残業時間が減る代わりに育児時間が増え、取引先ではなく料理教室に通うようになり、気付けば私は生活を回すため、料理の腕や家事力をガンガンに高めていた。

 パパのやりたい欲望を止めるのは、そもそも無理なのだ、と諦めた。そして自分自身も、正直言って年々加齢による体力の衰えも感じるし、心のストレスが体にはっきりと出る。

 今は、「中学受験をするなら、親の力もいるんだから、パパも手伝ってくれなきゃ無理だよ」という言葉を玄汰にかけている。働き方が変わることをほんの少し期待しているけれど、きっと大きくは変わらないだろう。

 でも「俺が働く人、私は家を守る人」の役割を交換したところで、私がパパほど稼げる自信はない。

 そして思い返せば、私はそんな彼が好きだった。家事ができて出世を希望しないマイホームパパよりも、仕事ができて、やりたいことがたくさんあって、野心にあふれる彼にひかれ、家族になることを決めたのだった。

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 2人目の妊娠は、神様に「今は休みなさい」と言われた気がした。

 バリキャリだった自分が一番驚いているけれど、環境によって「働きたくない自分」ができたことに気付いてしまった。「家族が何とか生活できるならいいかな……」と思い、今は短時間のパートだとしても時間を拘束されることや、働くことをためらってしまう。

 家族の事情でどうしようもないことは、ある。だから私は、仕事人生から降りた。長女の中学受験の準備が本格化したら、いったんフェードアウトしようと思っている。

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次回更新日は11月15日(木)になります。

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