SCではNSCづくり、PBでは女性、プロ向けも

 SCでも新たな動きがあった。今年6月、ベイシアと連携して、グループ初となるコンセプト共通型の商業施設「くみまちモールこじまた」を群馬県前橋市に出店し、NSC(近隣型ショッピングセンター)事業も手掛けることになった。

 こうした新たな取り組みで都市マーケットを開拓し、飽和状態のあるホームセンター市場で成長を担保しようとしている一方で、カインズの強みであるPB開発にも注力している。

 女性を意識した木の組み合わせで手軽におしゃれにDIYを楽しむ「Kumimoku」(クミモク)は、電動ドリルをはじめとした道具、壁紙、マスキングテープなどの素材を数多く取りそろえ、今年6月からは、工具や塗料などプロ向けの「KUROCKER’S」(クロッカーズ)も登場し、売場でコーナー化している。

他社と明確な差別化をするPB

 ユニークな商品も次々に登場している。メーカ品の容器デザインは売場で目立つよう派手なものが大半だが、今シーズン、室内においても雰囲気を壊さないよう配慮した落ち着いたデザインの殺虫剤、蚊取り線香、除湿剤を展開し、洗濯のピッチハンガーでは、アルミ製で軽くデザインや機能にこだわったアイテムも登場した。

 同社では食品にも力を入れているが、キリンと共同開発した「グランドキリンDIYクラフトBOX」は、フレーバーとビール、ふた付きグラスが付いていて、自分の好みでビールを楽しめるようにしたDIY感覚で楽しめるキット。

 筆者が愛用しているバナナスタンドなど他では売ってない商品も多く、ライフシーンを考えてさまざまなものを開発している。開発のキーワードは、「機能」「デザイン」「コーディネート」でデザイン性も重視する。機能性を保ちつつ、使われていないときは玄関で静かにたたずむ空間との調和を高めたチリトリや、取り外せる両手ハンドルを兼ね備えたセラミックフライパン&鍋調理器具シリーズといったグッドデザイン賞受賞アイテムも目立つ。

 既にPBの品揃えでは他社と明確な差別化が図られており、PBは荒利益率が高いことから収益面でも貢献度が高い。

ベイシアグループは60周年、カインズは30周年

 創業者で総帥の土屋嘉雄から引き継ぎ2002年に社長に就任した長男の裕雅は、売上高を1.5倍、営業利益を2.5倍に拡大した。その原動力がPBで、SPA(製造小売り)型ホームセンターを目指し、これからもPB開発に注力し、さらなる進化を遂げて、店舗競争力を高める上で有力な武器となろう。

 ベイシアグループは今年60周年、カインズも来年は創業30周年を迎える。土屋社長は今年の初めの朝礼で全社員に対して、ITを使いこなせる企業になるため「IT企業宣言」を行った。社内に対応する組織を設け、外部とも連携して進めていくが、来年から具体的な取り組みが展開される。

 グループトータルでは売上高9000億円が射程距離で、まもなく1兆円企業集団になる。中核企業であるカインズも新たな企業に脱皮し、土屋社長がグループの総帥になる日も近いだろう。

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食品商業2018年1月号

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鮮魚売場をどうする?

多様な形の魚食文化が発達している日本では、スーパーマーケット(SM)にとっても「鮮魚」は大きな位置付けを占める。しかしながら、昨今の「魚離れ」「肉ブーム」といった流れ、また、調達面では価格の高騰など消費サイド、仕入サイド双方から逆風が吹く。そうした中にあって、全体のバランスの中で売場を「縮小」する企業、逆にあえて売場の「顔」と位置付け強化する企業など対応も分かれつつある。ここで改めて考えてみたい。「鮮魚売場をどうする?」