収益構造も劇的に劣化

 

 今中間期決算では収益構造も劇的に劣化した。前中間期と比べれば取扱高対比経費率が6.2ポイントも上昇して27.6%にかさみ、取扱高対比営業利益率は11.6%から7.1%と5ポイントも急落した。最大項目の物流費(荷造運賃と物流業務委託費)は8.3%から11.0%へ2.7ポイントも上昇。プロモーション関連費用も1.7%から3.9%と倍以上にかさみ、人件費(物流以外の業務委託費を含む)も4.1%から4.3%に上昇しているが、物流費の上昇が率・絶対金額ともに突出している。

 宅配料金の値上げや人件費の高騰は業界に共通するが、これほどの経費率上昇を招いた要因はPB開発と物流機能拡充の両面をにらんだ経営戦略の無理にあることは明らかだ。物流機能拡充の投資競争を強いられるECプラットフォーマーがコンテンツ開発に数百億円を投じる無理が経費構造の劣化を招いたと指摘されても致し方あるまい。

前澤友作はイーロン・マスクの夢を見るのか

 経済誌オンラインで前澤友作のイーロン・マスク化を危ぶむ記事を見かけたが、女優との派手な交際はともかく、不可能と思われる壮大な構想に挑戦する辣腕ぶり、直情的なツイートが炎上を招くあたりは確かに共通している。イーロン・マスク氏率いるスペースXが開発する「ビッグ・ファルコン」での月旅行を打ち上げるのも、同氏へのオマージュが前澤氏を衝き動かしたのだろう。

 経済誌の危ぶんだ「イーロン・マスク化」は経営のプレッシャーから言動が不安定化して思わぬ足を取られることで、前澤氏のツイート『ただで商品が届くと思うんじゃねぇよ』は大炎上で済んだが、イーロン・マスク氏の株式非公開化ツイートは株価を動かし、SECから提訴されてテスラ会長職の辞任(CEOは続ける)と2000万ドルの罰金(テスラ社にも同額の罰金)、お目付役の外部取締役の招聘という和解条件を強いられた。

 これを厄災と見るか地固めと見るかは分かれるが、マスク氏を苦しめてきた「モデル3」の量産がようやく軌道に乗ったこともあってSECとの和解発表直後にテスラ社の株価は一時、14%も高騰。8月7日の高値からの下げ幅も15%を切った。それに対してZOZOの株価は7月18日の高値から半値を伺う下げっぷりで、テスラ社とは対照的だ。

 イーロン・マスク氏は不可能といわれた難事業を幾度も破綻に瀕しながら乗り切ってきた「鉄人」であり、「イーロン・マスク化」は危ぶむ揶揄ではなく、難局を乗り切って「鉄人」に脱皮する期待と受け止めるべきだ。前澤氏が両にらみの誤りに気付いて本道に回帰し、ZOZOをコスト競争力も備えた最強のファッションECプラットフォーマーに変貌させるなら、販売不振とコスト増に苦しむアパレルなどコンテンツ事業者にとって大きな救いとなるだろう。

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老舗とIT ―時代を生き抜く技術と精神―

店を取り巻く環境は日々、刻々と移り変わっている。旧態依然のやり方を漫然と続けていては、時代の変化に気付かぬうちに取り残されてしまう。長きにわたって連綿と生き永らえる「老舗」こそ、時代を先取りし、変化に対応する新しい技術を取り入れ続けてきた存在だ。翻って現在、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)をはじめとしたIT導入は、大型店だけの課題ではない。揺るぎない精神を守り続け、新しい時代を生き抜く技術を会得しながら永続してきた老舗たらしめるゆえん。老舗×IT。今、取り組むべきときが到来している。