カリフォルニア州ホーソーンで、米宇宙開発企業スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(奥左)と握手し手を振る前澤友作氏(同右)(アメリカ・ホーソーン)AFP=時事

 ファッションEC最大手のZOZO(旧スタートトゥデイ)は10月末日、19年3月中間期(4〜9月)決算を発表してアナリスト/機関投資家向けに説明会を開催したが、そこで公表された数字と方針はゾゾスーツ配布を軸とするPB戦略の蹉跌を匂わせるものだった。

2代目ゾゾスーツもPBも空回り

 量産失敗で前期に40億円もの特損を計上した初代に続いて2代目ゾゾスーツも採寸精度が期待値に達しない中、ゾゾスーツ採寸に基づくPBもパターン作成や生産が順調に行かず、7月に鳴り物入りで売り出したオーダーメイドスーツも注文こそ殺到したもののマーキングCADの不調などで大幅な納期遅れが続き、中間期のPB売上げは6億5800万円と計画に遠く届かなかった。それでも通期のPB売上予算200億円は下方修正せず、下期の急拡大を見込むなど、強気の姿勢は崩していない。

 その一方、これまで配布したゾゾスーツで蓄積した採寸情報によるAIマッチングで、今後はゾゾスーツなしでPBが注文できるように切り替え、将来的にはゾゾスーツを廃止すると発言。ゾゾスーツの配布量も初期計画の600万〜1000万枚から最大300万枚に抑えて30億円を節約するとトーンダウンしており、ゾゾスーツ採寸によるパーソナルなPB衣料の提供という構想は既に破綻している。

 ECプラットフォーマーのZOZOがSPA的なコンテンツ開発にのめり込めば両にらみの戦略になり、投資が分散してアマゾンなどライバルにつけ込む隙を与えることになる。宅配料金や人件費の高騰でフルフィルセンターの自動化投資が急がれる中(筆者の『ユニクロの有明自動倉庫に見る課題』を参照されたい)、未経験で予想外に手間取る商品開発に投資も人材も割かれては足枷になってしまう。

 PB事業は上半期だけで70億円もの営業損失を計上しており、2代目ゾゾスーツの配布費用、納期遅れや返品による損失、下期の営業損失を合わせれば、軽く200億円は飛んでしまう。それはフルフィルセンターの自動化やシステム拡充に投ずるべきではなかったか。

“百貨店化”と揶揄される手数料率の高騰

 

 前中間期と比べれば取扱高伸び率が38.3%から18.0%と20.3ポイントも減速。それにスライドするはずの営業収入の伸び率は35.3%から25.9%と9.4ポイントの減速に収まっているから、手数料率のかさ上げが行われたのだろう。事実、取扱高対比営業収入比率は35.7%から38.1%へ2.4ポイント上昇している。15年3月期と比べれば6.2ポイントも上昇しているから、相当なピッチでかさんだことになる。

 新規ショップが小粒化していることもあって受託ショップ事業の取扱高対比手数料率は28.7%から29.6%と0.9ポイントしか上がっていないが、大口の多いEC支援事業(BtoB/12サイト)は21.2%から23.4%へ2.2ポイントも上昇している。受託ショップ事業とて07年3月期からは7.2ポイントも上昇しているからZOZOの手数料率かさ上げは90年代の百貨店並みで、出店アパレルが『ZOZOが伊勢丹化している』と嘆くのも理解できる。

 もとより百貨店もZOZOも売上手数料を徴収するビジネスモデルで在庫リスクは負わない。委託仕入れや消化仕入れで販売員の派遣が必要な百貨店と在庫を預かって出荷してくれるZOZOを同列にはできないが、出店アパレルにとって百貨店に代わる販路として期待するZOZOの手数料率高騰やクーポン値引きの負担は収益を圧迫しており、コスト負担の軽い他のEC販路や自社運営ECへのシフトを加速させている。それがZOZOの取扱高拡大にいずれブレーキをかけることになるのは明白だ。