厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

第17話 激務コンサルタントの夫・玄汰の目線

「明日は?」

 夕食を終えて子供の寝顔を見ていると、可奈子が尋ねる。家にいるときには、明日の朝は何時に家を出るのか、何泊するのか、どこへ行くのか、帰宅する日は何時頃になるのか、を妻の可奈子に報告するのが日課だ。

 月の半分以上がビジネスホテル暮らし。結婚してから、俺はもう何年もこの暮らしを続けている。

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 妻とは職場婚だった。だから俺のコンサルタントという仕事の性質も、彼女は理解している。結婚を機に彼女は退職し、子育てと両立するために独立して徐々に仕事のペースを緩めた。

 コンサルタントはクライアントの都合で動く仕事なので、日程変更や急な商談が入るのは日常茶飯事だ。他社との競合コンペに向けての資料作りや社内での進捗報告などもこなしていると、あっという間に夜中になる。

 地方出張も多く、数字が目標値に満たなければ契約更新もされないシビアな世界だ。自由に働ける半面、体力的にも精神的にも激務の部類に入ると思う。それでも続けてこられたのは、やはりお金が好きだからだ。

 学生時代、新聞配達の住み込みアルバイトをして生活に苦労した経験があるので、稼ぐことへの執着心は人一倍強いと思う。仕事で社会的に成功している立場の人と話すと、すごく刺激を受ける。副業でやっている不動産投資も面白くて、そのためなら海外まで出かけていく。子供の世界や可能性を広げるために、中学受験も考えている。

 やりたいことはたくさんあって、叶えてもまたすぐ次にやりたいことが出てくる。そしてそのやりたいことを全部叶えるためには、まだまだ今の年収では足りないと思っている。お金を理由に、やりたいことが「できない」とは言いたくない。

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 出張2週間目に突入中、妻から『ママ、もう疲れた』とLINEがくる。クライアントとの初顔合わせ前に仕事のモチベーションがガッツリ削がれるが、既読通知を付けてしまったのでLINEを返す。

「ママやめてよ~これ見たらモチベーションがだだ下がり。じゃあ、年収下がるけどいいの? 仕事が変わってもいい?」

 わが家は子供が2人いる。いつからか、俺は稼ぐ人、妻は家を守ってくれる人、という関係になった。全部お任せは申し訳ないとは思うけど、実質休みが少な過ぎるので、そうするしか回す方法はなかった。

『そういうことじゃなくて……』

 妻のLINEの返事をポップアップ表示で確認しつつスマホを閉じて、ひとまずクライアントとの打ち合わせに臨む。

 同じようなやり取りを何度、繰り返しただろうか。解決方法を何度パターンで示しても、妻はいつも「違う」と言う。何が違うのだ? 問題は解決するものではないのか?

 家族を大事にしていないわけじゃない。たまに自宅に帰れる休日には娘ともよく遊んでいるし、家事や用事は頼まれればすぐにやる。中学受験は父親の手も今より必要らしいので、そのときになったら手を貸すつもりでいる。

 われながら親バカだが娘はかわいく、すくすく育っている。家庭でパパがレアキャラとして位置付けられているかなとも思うが、仕事のやりがいもタスクも大きくて、この生活のやめ時は正直分からない。今はただ目の前のことを、ひたすらやるしかない。

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>第18話 激務人生から降りた妻・可奈子の目線

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食品商業2018年1月号

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