無人店舗は地方でこそ大きな役割を果たせる

 日本の小売業がこれから無人店舗新業態に挑むとすれば、数千個のセンサーやカメラを設置する膨大な投資が必要なアマゾンゴー仕様ではなく、既に中国などで実用化されているシンガポールのマルチキャッシュレス支払いを導入する方が現実的です。

 アマゾンゴーは日本進出後、AIの深層学習を通して店舗を日本仕様に修正することで、日本の地方でも支持されるビジネスモデルをつくっていくのは間違いないと思われます。その結果、アマゾンは日本全土で支持される完成形の店舗をつくっていくことになるでしょうが、それまでに、日本発の無人店舗新業態がすべきことは他にもあります。

 それはシンガポールの無人店舗を参照にした新業態を(都市部だけでなく)地方でもオープンさせ、それをその地元にしかない地域密着型の無人店舗にすることです。

 具体的には次の4つがポイントになります。

(1)自社QRコード支払いでお得感を推奨:自社QRコード支払いの特典をまずは最大化すること(割引額やポイント特典率のアップなど)でお得感をアピールし、自社アプリを多くの人にダウンロードしてもらう。

(2)地元密着店舗とQRコード支払いで提携:地元にしかない代々続いた商店や地方にU、Iターンしてきた移住者のお店と、競合するのではなく自社アプリで購入可能なQRコード支払いで提携する(紙プリントのQRコードを顧客にスキャンしてもらうだけのため、システム投資する余裕がない小資本でこだわりの地元のお店をサポートできる)。

(3)無人店舗周辺を活性化:自社アプリの使用エリアを無人店舗周辺に拡大することで、周辺エリアを活性化。周辺の提携店舗の売上げと自社の手数料収益をともにアップさせ、街の賑わいを醸成し、相乗効果を生み出す。

(4)地元限定の商品をブランド化:周辺提携店舗の自社アプリ購買履歴を元に、売れ筋をAI分析した地元発の限定商品を開発。顧客のモバイル端末からSNS経由の発信を促すことで、地元無人店舗限定で扱う地方フランドを他府県や訪日旅行者へPRする。

 日本発の無人店舗新業態が、都市部に加え、アマゾンゴーが出店しない地方に出店する意味は、「アマゾンゴーではできない地元密着の街をつくる役目を担うこと」にあります。それは少子高齢化で若者が少なくなった地方都市で住民たちの生活を支える小売企業にしかできないことをするということなのです。