シンガポールに手軽さ、お得感、おいしさを学ぶ

 日本より少子化率の高いシンガポールは人手不足を解決するためもあり、AIを駆使した無人店舗を既に2カ所(2018年度にはもう1店舗増加予定)で実験しています。1店舗は公営住宅の共有部分に自動販売機6つを設置したカフェ、もう1店舗は公立大学ナンヤン・ポリテクニック(南洋理工学院、NYP)内に流通大手フェアプライスが展開するコンビニエンスストアのチアーズです。

 実はこれらの店舗では、「日本発の無人店舗がアマゾンゴーに対抗する3要素」を行っており、(1)誰もが入店できる手軽さ、(2)マルチキャシュレス支払い方法によるお得感、(3)おいしさを刺激するビジュアル演出と自販機中食メニューがあるのです。

シンガポール無人店舗に見るアマゾンゴーに対抗する具体策>

1.誰もが入店できる手軽さ

アマゾンゴー:クレジットカードなどに紐づけ支払いを保証する必要あり

シンガポール無人店舗(チアーズ):モバイル端末(スマホ、タブレットなど)にアプリ「Shop it yourself」をダウンロードし電話番号で個人認証を行えば、すぐにQRコードが手に入り入店可能

2.マルチキャシュレス支払い方法によるお得感(4つのお得感がある!)

アマゾンゴー:登録した支払い方法のみ

チアーズ:支払い時に支払い方法(クレジットや電子マネー、QRコードなど)が選択でき、購入日やよく利用するサービスによって割引やポイント特典を最大化できる

 マルチキャッシュレス支払いは、大手銀行のキャッシュカード(デビット機能含む)やクレジットカード提携もあるコンビニ購入でチャージ加算可能なタッチ方式電子マネー「NETSFlashpay」がS$5~10(1S$=約82円)で販売されていますが、特典はありません。

 しかし、例外として住民のほとんどが所持する交通系ICカード「ezリンクカード」は、政府の決済電子化推奨もあり、小売店が自社のブランド認知度アップのために「NETSFlashpay」と提携。ポイントなどの特典を限定期間で提供することもあります。※NETSとは、政府主導で3つの銀行が株主となって運営するキャッシュカードに紐づいた決済システム

 また、アプリをダウンロードするモバイル端末(スマホ、タブレットなど)は、銀行口座(NETS Pay、payla!、PayAnyone)やクレジットカード(『GrabPay』東南アジアの配車アプリ/『Alipay』中国アリババ、『Apple Pay』米アップル/「Google Pay」〈旧Android Pay〉)にリンクし「QRコード決済」に対応、従来のクレジットカード(VISA /MASTER/JCB/AMEX/UNION PAY〈小売り系〉OCBC NTUC plus)は磁気かチップにより暗証番号などで決済することで次の4つのお得感を提供しています。

<お得感①>OCBC銀行でPayAnyoneを選び、10ドル以上決済すると1万人限定で3度まで3ドルのキャッシュバック

<お得感②>総合大学および工科大学、教育大学のカフェテリアでNETS Payにて最低S$2ドル支払いすると50セント割引

<お得感③>シェアタクシーのGrabPay決済だとS$1ドルごとに1ポイント積算(2000ポイントでスターバックスS$5ドルの商品券)

<お得感④>OCBC NTUC plus(チアーズの経営母体フェアプライスのハウス提携カード)のクレジットカード決済全て 3% オフ

3おいしさを刺激するビジュアル演出と自販機中食メニュー

<ビジュアル演出>

アマゾンゴー:モノ重視(什器はモノトーン一色で、整然と管理しやすく見やすさ重視/サンドイッチは切らずにパンの片側を見せて陳列)

シンガポール無人店舗(チアーズ):コト重視(ブランドカラーの黄色を所々に使い、中央にスナックの什器を仕立てパッケージデザインで食欲に訴える/卵サンドやチキンサンドのマヨネーズや黄身の黄色にライティングすることで、サンドイッチのおいしさをアピール)

<中食メニュー>

アマゾンゴー:持ち帰りもイートインも可能な目的重視。紙の持ち帰りボックスであるミールキットにメニュー写真を貼り、効率化/イートインのテーブルを配置し、レンジをそばに設置)

チアーズ:おいしいものが食べたい動機重視。弁当コーナーを設置し、外からクリームがからまったバスタやチキン、サーモンが副菜として見えるような真空パックで10種類以上陳列。先にレンジで温めれば、待っている時間内にセルフで精算が終わり、すぐに食べられる

<自販機>

アマゾンゴー:便利さの価値(自販機内工程の商品提供に要する時間を排除するため、自販機は扱わない)

チアーズ:便利さプラスおいしさの価値(オレンジカラー〈食欲をそそる色〉の自販機を設置/多様な主菜メニューセレクションですぐに食べられるおいしさを訴求〈チキンパイやカレーパイやアップルパイが約20種類以上、ピザが2種類、シェフレシピのメニューがタッチパネルで注文できる麺やパスタ、グリル料理など約10種類〉

 日本の無人店舗新業態がここで紹介した具体策を導入し、アマゾンゴーの日本出店前に利用者を増やしておけば、どうなるでしょうか。先んじて自社アプリのダウンロードを進めたことで、リピートしてくれる固定客を獲得した状態でアマゾンゴーを迎え撃てるようになるのです。