訪日外国人観光客の増加に伴って拡大するインバウンド売上げは減少する国内客売上げを補って百貨店の売上げを支えているが、果たしてこの勢いがオリンピックまで続くのだろうか。直近の7〜9月期ではインバウンド消費に陰りの兆候が広がった……

百貨店売上の6.0%を占めるインバウンド

 来日外国人観光客数は為替や外交関係に左右され、08〜12年の停滞の後は急加速して17年には2870万人と底だった11年の4.6倍を超え、18年も1〜8月までは前年同期比12.6%増の2131万人と勢いに陰りは見られなかった。

 16年末以降は百貨店にインバウンド消費の恩恵が広がり、18年1〜8月には百貨店売上げの6.0%を占めるまで拡大。18年8月までの1年間のインバウンド売上げは前年から1047.5億円増えて3317.4億円に達するが、この間に国内客売上げは1213.8億円減少しており、国内客売上げの減少をインバウンド売上げの増加分で埋め切れず、百貨店売上総額は0.3ポイント減少している。

 そのインバウンド売上げが失速する兆候が8月、9月、10月と広がりだしたのだから、棚ぼたに依存してきた百貨店業界は内心、穏やかではあるまい。

天変地変を契機とした7〜9月期の失速

 7月以来、酷暑や集中豪雨、度重なる巨大台風の襲来と異常気象が続き、9月には北海道胆振東部地震が発生して北海道全域が停電するなど、日本の安全が疑われる事態が続いて来日観光客のキャンセルが広がったが、天災地変による一時的なもので済むのだろうか。

 観光庁発表の7〜9月期速報によると、訪日外国人旅行者数は757万人と前年同期の744万人から1.7%の伸びに減速し、旅行消費額は同88.4%に失速。1人当たり旅行支出は16.5万円から15.6万円と5.5%減少し、買物代は前年同期の4204億円から3546億円と15.7%も減少している。中でもインバウンド売上げの過半を支える中国人客の買物額は前年同期の2392億円から1889億円と21.2%も減少。1人当たりも10%近く減少している。

 9月には訪日外国人旅行者数も前年同月比94.7%とマイナスに転じ、百貨店のインバウンド売上げも106.3%と17年2月以来の一桁増に減速。毎月のインバウンド売上げ伸び率を公表している髙島屋の9月は97.3%、10月も14日時点で94.3%と前年を割っている。

 髙島屋の3〜8月期は7.6%、阪急本店の4〜6月期は15%、新宿伊勢丹本店の18年3月期は10.5%、三越銀座店の同27.2%も占めるインバウンド売上げが失速するとなれば、国内客売上げの減少をカバーしてきた“下駄”が折れることになる。