私は以前、あるブランドの公式アカウントを運営していました。それまではフェイスブックすら登録せず、見る専門の「ROM専」だった私ですが、フェイスブックやブログ、ツイッターを通じて慣れないながら初心者目線での情報発信に努め、たくさんのお客さまとオンライン上で交流してきました。全くSNS発信しないところからスタートして、今も見ることだけには時間を割いている私だからこそ見えてきたSNSの活用術をまとめました。

 接客に自信がない人にこそSNSはチャンスです。店頭では限られた接客時間内にお客さまに合わせた対応が求められますが、SNSなら一投稿に納得がいくまで時間をかけられます。写真、テキスト、イラスト、動画、声、更新頻度など多様な形で表現の幅が広がります。

 最近ではSNS上で飲食店の評判を検索する、タイムラインで目にしたものを買うという消費の流れも生まれています。SNS上に情報がなければあなたやショップと出会うチャンスが減るのです。

 SNSの発信には、必ず投稿者の人柄がにじみ出ます。受け手側も投稿者の姿勢や思いに触れて行動を起こします。テクニック以上に大切なことは、投稿や運営に気持ちが込められて人柄が見えること、目先の結果に一喜一憂せずにやり続けて認知度を高めることです。

図表① △いまいちな投稿
◎思いが伝わる良い投稿
良い投稿のコメントの例

 

個人SNS運用のヒント

❶今の自分ができることをする

 アカウントを作って発信することなら今日中にできます。既にフォロワーが多いアカウントと比べても仕方がないので、まずは今の自分ができることを探しましょう。フォロワーやPV(ページビュー=何回見られたか)という数字は目に見えるので重視されがちですが、SNSがきっかけで問い合わせが増える、購入が決まるなど、顧客と接点を持てる方がよほど大事です(図表①参照)。

 また投稿に写真を付ける、〇時に更新、月末にシフト公開など、小さな更新ルールを決めましょう。プロフィルや初回記事で宣言すると見る側に親切です。

 本部とはできれば始める前に投稿方針を擦り合わせ、どこまで任せてもらえるかなどルールを決めておきましょう。トラブルになる前に先手を打って不安感を取り除くことも大切です。

❷自分の好き・嫌じゃないを発信する

 開設理由が「本部に依頼された」「仕事だから」だったとしても、嫌々やる投稿は反響も出にくいものです。日常業務に投稿という負担が増えるのですから、好きなことでなければ続きません。

 好きや得意が分からなければ、嫌じゃないことから始めましょう。例えばインスタグラムは写真がメインの投稿でインスタ映えする撮影技術が必要と思われがちですが、投稿コメントは2200文字、ハッシュタグは30個まで可能です。書き文字や漫画、イラストをアップしている人気インスタグラマーもいます。使い方は何でもいいのです。

❸エゴサーチを極める

 

 エゴサーチとは、自分で名前や商品を検索して評判や口コミを探す行為です(図表②参照)。ポジティブな意見をこつこつ拾って紹介するタイムラインを作れば「商品に対して良い口コミ・評判」を集めたアカウントになります。あちこちに散らばる評判をまとめるだけで、人気があることを客観的に証明できるのです。

 さらに自分たちの商品がどのように活用されているかも学べるため、勉強にもなります。逆に悪い意見については、わざわざ紹介する必要はありません。

❹お客さまのために投稿する

 宣伝も大切ですが、時にはお客さまのためにアカウントを運用するという視点を持ちましょう。普段の接客で伝えそびれてしまうような情報をSNSで補足するのも効果的です。

 商品のケア方法、店頭の在庫状況、スタッフの私服と新作のミックスコーディネート紹介など、お客さま視点で有益と思われる情報を発信してみてください。

❺相談窓口として運用する

 あるスポーツ施設で「おむつ換えをする場所がないと断られて外で換えることになった」という投稿がありました。反響も大きくクレームに発展しそうでしたが、気付いた関係者が個人アカウントからおわびしてすぐに社内で問題を共有し、一人の投稿をきっかけにおむつ交換台を置くスペースの確保が決定しました。

 エゴサーチをすると施設や商品に対してのクレームを見つけることもあります。嫌な意見を目にするとショックだと思いますが、検索しなければ関係者が誰も目にすることがなかった貴重な意見です。

 上記で対応した人は、元々SNS歴の長い責任もある方でした。焦ってスタッフが対応すると二次クレームを生む可能性もあるので、まず責任者に問題を報告して判断・指示を仰ぎましょう。

 お客さまの中には直接不満を言えず、そのまま店から遠ざかってしまう方もいます。対面しないオンラインでだけ本音が言える人もいるのです。

❻店内の実況中継として使う

 どうしても集客したい日には、思い切って何度も投稿しまくりましょう。イベント1週間前から内容告知、目玉商品を日替わりで紹介し、当日の混雑状況、スタッフの様子、打ち上げの様子など、同じイベントでも切り口を変えれば何度も投稿チャンスはあります。

 更新頻度が多過ぎるとフォローを外されるのではと思ってしまいがちですが、お客さまが見ているのはあなたのアカウントだけではないので、1回投稿したくらいでは他の投稿に紛れて埋もれます。

 例えば人気美容師の方は「〇日の〇時ご予約まだ承れます」と予約状況を告知しています。「当日予約OK」「カラーとカットは別の担当者でもいいですよ」など、お客さまからすると気が引けてしまうようなことを発信して、新規客の獲得につなげています。

❼店頭や商品購入先へつなげる

 検索ワードから投稿単体にアクセスされても大丈夫なように、担当者名や店名、ブランド名、購入サイト名など、最終的に商品を購入できる場所につなげましょう。全投稿に店名や連絡先を入れるのが難しい場合は、店舗情報をトップページやプロフィル、固定記事に置きます。お客さまが購入につながる情報に簡単にアクセスできるか確認してください。

 

※本記事は『ファッション販売』2018年11月号に掲載されたものです。内容は取材当時のものです。

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