「絶好調」の吉田将紀社長。【撮影】千葉太一

 筆者は株式会社絶好調という飲食企業の動向を注目している。その理由は、同社に常に挑戦する姿勢を感じるからだ。代表の吉田将紀氏は1976年生まれ。大手外食企業から「居酒屋甲子園」の創始者である大嶋啓介氏が立ち上げた「てっぺん」に入り、総店長として大嶋氏を支えた。当時の吉田氏が率先垂範する姿勢に筆者は大いに将来性を感じていた。そして、吉田氏は2007年11月、歌舞伎町に同社の1号店となる「絶好調てっぺん」をオープンし、企業家の道を歩み出した。

 同社の特徴は、新宿エリアにドミナントを形成していること。業務委託による社員独立制度があること。そして飲食業の他に飲食に関連する事業として「介護事業」「保育事業」を擁していることだ。

 その同社が9月9日、創業の街である歌舞伎町に「原始焼 火鉢」(25坪)をオープンした。店名にある通り、原始焼をメインとした店である。同社の飲食事業としては10店目になるが、新宿には8店目となる。業態は炉端、イタリアン、ビストロ、焼鳥、和食の5つ。この店に筆者が注目したのは、既存店が5000円程度で高いクオリティに加えてコストパフォーマンスを感じさせているのに対して、客単価1万円という接待需要も想定した店になっていることだ。

 このような既存店の状況に対して、なぜ2倍の客単価の店にチャレンジしたのか。これからどのように展開しようとしているのか。吉田将紀氏と、同社総店長の田中将太氏に伺った。

会社が成長することで新宿を「おいしい街」にする

――まず、絶好調が新宿で営業することにこだわっている理由を教えてください。

吉田 当社には「新宿をおいしい街に」というスローガンがあります。創業の店を歌舞伎町にオープンし、その後、新宿で店舗展開をしていく過程で、「当社がこの街で成長していくことによって、新宿がおいしい街となるきっかけとなればいい」と考えるようになりました。

 例えば、銀座、六本木、恵比寿、中目黒とか、おいしい飲食店がそろい、大人のお客さまが集まる街はありますが、新宿はこれらの街とは異なります。

 私は、新宿をこのような街と肩を並べるまで行かなくても、大人のグルメな人たちが食事を目的に来るような街にしたい。

 新宿駅の乗降客数は1日約780万人と世界一です。飲食店もたくさんあります。しかしながら、新宿は、オフィス街でありショッピング街であり、飲食の街でもあります。土日の営業もききます。このような街の特性をいろいろと生かすことができると考えました。

――客単価1万円の店を歌舞伎町にオープンしたのはなぜですか。

吉田 当社がこれまで新宿で展開してきた店は客単価5000円前後ですが、この客単価だけでは「おいしい」という部分を高めていくことができません。そこで、まず1万円の店に挑戦し、さらに2万円、3万円の店に挑戦していこうと考えるようになりました。一方で、大衆酒場も検討しています。

 このように業態に振り幅があることが、一店一店多業態を磨いていく当社らしさをつくっていく上でとても大切なことなのではないかと思っています。

「原始焼 火鉢」のシンボル・火鉢は店内の中央に位置する

 社内的には、客単価の高い店をつくることで、年齢を重ねても現場で働きたいという人の経験と技術を生かすことができると考えました。

 高度な調理技術を持つ50代の板前さんとか、子育てを終えて人間的も素晴らしく素敵な接客ができる女性が当社の中で育っていても、現状の客単価のままではなかなかその良さを生かすことができません。給与の部分でも反映できないという発想もありました。

 新宿で接待に使える店とは、今では西新宿の高層ビルの中となります。そうなると、大手企業が運営しているので、QSCは大手なりのものとなるでしょう。

 新宿の東側には大きな歓楽街の歌舞伎町があり、一方ではゴールデン街や、新宿三丁目といった強烈な個性を放つコミュニティを感じさせる歓楽街があります。

 歌舞伎町にはゴジラのビル「新宿東宝ビル」ができて、健全な雰囲気となり、外国人観光客も増えて来ていて、かつてのイメージと全く異なっています。

 そうした中、ゴジラのビルの隣にある物件を獲得することができました。このように健全であり、外国人観光客が増えていく状況はこれからもどんどん進んでいくことでしょう。街が変貌していく中で、高級店を営業しようと考えました。