環境デザインは隈研吾氏が担当。右手はベルギー出身のフラワーアーティストのダニエル・オスト氏が手掛けた迎え花。

 三越伊勢丹は約30年ぶりの大規模改装となる三越日本橋本店の第1期再開発(リモデル)を完了、24日にグランドオープンした。今春から本館1階を中心に改装を進めてきたが、今回は顧客の要望や相談に応えるコンシェルジュが常駐するデスクやVIP顧客のラウンジを設けるなど接客・サービス機能を整備。コンシェルジュ90人と案内役のガイド100人が連携し、同時に開発した顧客情報の共有システムを用いて、ブランドやカテゴリーの垣根を超えた館全体での商品提案を目指す。

コンシェルジュの常駐デスクなどを開設

 第1期再開発は3月に新館1階の特選売場の一部から着手。4月に本館1階の化粧品、7月に同雑貨、10月上旬には同特選売場を改装した。

3階婦人服フロアに新設された「パーソナルショッピングデスク」のゾーン。コンシェルジュが常駐して各種のサービスを提供する。
顧客に似合う色を助言するパーソナルカラー診断も実施する。

 今回は本館1階中央ホールに顧客の総合窓口となる「レセプション」を開設。同地下1階~6階の各フロアには各カテゴリーの専門家であるコンシェルジュが常駐する「パーソナルショッピングデスク」を開いた。ガイドが顧客の来店目的を聞き取り、コンシェルジュのもとに案内する。また5階には三越伊勢丹グループの限定会員向けのくつろぎスペース「ザ・ラウンジ」を設けた。

5階に新設された限定会員向けのくつろぎスペース「ザ・ラウンジ」。その他の限定会員向けのサロンを含めた面積合計は約1300㎡。

 同社は従来の「モノ」中心から「接客・おもてなし」を中心とした百貨店への脱皮を目指している。日本橋本店はリモデルに合わせて320人のスタイリスト(販売員)を再編成。コンシェルジュを従来の50人から90人へと大幅に増員し、①フード、②メンズ、③レディス、④きもの、⑤リビング、⑥アート、⑦ジュエリー&ウオッチ――と7つのカテゴリー別に配置した。新たにガイドとして100人を任命。他にお得意様営業部のスタイリスト130人が協力態勢を組む。

 3階婦人服の「パーソナルショッピングデスク」(150㎡)では、顧客に似合う色を助言するパーソナルカラー診断、骨格によるスタイルの違いを分析し似合う服を助言する骨格スタイル分析といったサービスを有料・無料で提供する。

 5階リビングの同デスク(同)では、①インテリアコーディネート、②ギフト、③暮らしのサービス――と3つの提案ゾーンを展開。顧客の個別の要望に応じてアドバイスをする。

 これらを含め全館では111項目のコンシェルジュサービスを用意。またクルーズやホームパーティの相談などカテゴリーの枠を超えた10のパッケージサービスも設けている。

5階リビングの「パーソナルショッピングデスク」。モニターではカテゴリーの垣根を越えてさまざまなサービスやイベントの情報を閲覧することができる。

パーソナル接客を支えるデジタルの仕組み

 こうした接客・サービスの運用を支えるのはデジタルのサービスだ。セールスフォース・ドットコムとクラウドベースのCRM(顧客関係管理)システムを構築した。

接客・サービスの運用を支えるのはデジタルの仕組みだ。コンシェルジュやガイドに支給されたスマートフォンでその顧客向けのリコメンド情報などが見られる。

 お客はウェブサービスを利用して事前にサービスの予約もでき、その要望がガイド、コンシェルジュ、スタイリスト、ラウンジスタッフに連携され、事前に各自が案内や提案すべきことを準備できる。

 購買履歴など顧客データとコンテンツ、イベント情報はコンシェルジュやガイドに支給されたスマートフォンでいつでも見られ、スタッフ間で情報を共有。来店後の顧客の要望に応じて別のフロアのコンシェルジュに商品提案の準備を促すこともできる。

 システムは19年度に新宿本店と銀座店に広げ、将来的には支店や地方店にも導入したい考えだ。

 リモデル後の売上げ目標は19年度内に完成する第2期のリモデルを経て、20年度に改装前の100億円増を見込んでいる。

グランドオープン前日には1階中央ホールで記念イベントを実施。奥にある天女の像の手前のスペースが顧客の総合窓口となる「レセプション」。
  • 三越日本橋本店
  • 所在地/東京都中央区日本橋室町1-4-1
  • 店舗面積/6万2318㎡
  • 改装後売上げ目標/20年度約1650億円
  • 改装開店日/2018年10月24日
  • 年間売上高/1553億円 (18年3月期)
  • 展開企業/三越伊勢丹
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