厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

第16話 フリーランスの妻・絵美の目線

 毎日の献立を考えるのが憂鬱だ。

 夫の克哉は家でご飯を食べたい人で、それは言い換えると「毎日ご飯を用意しなければいけない」という意味だ。残り物をそのまま出すとやっぱり減りが遅いので、なるべく少量ずつ、違うメニューを作るという作業は終わりがなく、果てしない。

 彼の仕事は忙しいから、平日の家事はちょっと頼みにくい。毎晩の料理はいつも喜んで食べてくれるし、「できた妻だ!ありがたい!」なんて周囲にも自慢げに言いふらしているようだけれど、本当は全然そんなことはない。

 昨日出した副菜の白菜と豚肉のおかずは、実は盛り付ける器を変えただけだ。料理では見た目を変えることが重要で、他にも上にカツオ節や小ネギ、大葉なんかを散らして雰囲気を変えれば、彼は「新しく作ってくれた」と思って食べてくれることが分かってきた。

 結婚を機に実家を出た身だし、母は元々外食好きだったので、それまで料理のことは何も分からなかった。義母の家に遊びに行って色とりどりできれいに並べられた食卓を見て、教えてもらいながら少しずつ調味料の味付け方法やちょうどいい魚の焼き加減を覚えてきた。

 本当は「ながら食べ」も全然平気だ。取引先から依頼された仕事の締切が迫っているときは、PCを開いてギョウザなんかを食べながら仕事するときも全然ある。外出前に煮込み料理を作っているときは、煮込んでいる間に仕事をしている。

 克哉は夫婦の会話する食事の時間を大切に考えている人だから知らないと思うけれど、2人でいるときは「あぁそうか、今日は克哉がいるから食卓に座って一緒に食べなきゃいけないんだった」と思うくらいだ。

 義母からは「絵美ちゃん、ご飯って確かに2人で食べた方がおいしいけれど……でも、1人で食べてもおいしいわよね。体を壊すから、先に食べちゃえば?」と心配されたことがある。

 ただ私からすると、2回も準備や後片付けをする方がよっぽど手間なのだ。自分が食べ終わって自分の分のお皿を洗い終えた後で、また夫が帰宅した後に食事の準備をして、今日あった出来事をお互いに話して、もう一度洗い物をして……と考えると、それなら待ってた方がマシだと思う。

 パジャマで私が夫を出迎えていることも、本当は一部の人から見れば「だらしなくってあり得ない!」ことなのかもしれない。

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 ネットスーパーは、あえて使っていない。自分1人で買物するとメニューがマンネリ化するからだ。私たち夫婦の口癖ナンバーワンは「今日の夜何食べよっか?」なので、いつも日曜日の夕方に近所のスーパーマーケットへ買物に行く。

 2人で行けば大容量のごま油やビールなど重い物を夫に持ってもらえるし、家では出てこない克哉のリクエストが聞ける。

 家で「何か食べたいものある?」と聞くと「何でもいいよ」と言われて困るけれど、スーパーに行けば「シチュー食べたいなぁ」とか「最近、肉じゃが食べてないよね?」とか本音がポロポロ出てくる。実際の食材を一緒に見るのが、一番本音が引き出しやすいことが分かった。

 レシピ本では「あれがない、これもない」事態に陥りがちだから、冷蔵庫にある食材を思い浮かべながら献立を決める。私が愛用しているのは、クックパッドのレシピ。プレミアム会員の特権である「人気順検索」をフル活用し、誰が作ってもおいしくできるようなレシピを探す。お料理キットや調理の素も使えば便利なのだろうけれど、家にある調味料を組み合わせれば大体できる気がするので使わない。

 自分じゃない誰かが口にするメニューを考えることは、本当に大変だ。

 だからこそ、克哉が食べているときに「おいしい!」と褒めてくれることがうれしい。また今日も頑張って作っちゃおうかな、と思える。

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>第17話 激務コンサルタントの夫・玄汰の目線

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