前回の記事では、「小売業」と「宿泊・飲食サービス業」の労働生産性が他業界に比べて大幅に低いこと、また大企業よりも中小企業の方が労働生産性は高い傾向にあるものの、そのレベルは企業間で大きくバラつきがある、という点について述べました。

 記事公開と同時に読者からも意見を募集しましたが、「他業界と比べて、これだけ労働生産性が低いということを知らなかった」という声を多くいただきました。また読者からは、以下のような意見をいただきました。

・中小企業がサービス残業やコンプライス違反をしているため、数値上では労働生産性が高いように見える

・過剰サービスを見直すべき

・省力化技術の開発・発展に期待

・商品の納品から陳列までの自動化

 今回は、「現状でも運営がギリギリの状態の流通・小売業が、どうやったら労働生産性を上げられるのか」について、私なりの考えをまとめます。

 なお今回も前回の記事と同じく、ここでの「労働生産性」は、個社の常勤換算した従業者1人当たりの年間の付加価値額(営業利益、減価償却費、給与総額、福利厚生費、動産・不動産賃貸料、租税公課の総和)を売上高で加重平均して算出したもの、と定義します。

・適正営業時間を検討する

 

 小売業や飲食サービス業は、消費者の要望やニーズをできるだけかなえようとすればするほど、どうしても営業時間が長くなりがちです。深夜・時間外特別料金を設けるなど各企業で利益を上げるための工夫がされていますが、それでも各営業時間で均等に利益を出せている店は多くないように感じます。営利目的というよりは、社会インフラとして開けているようにも感じられます。

 私は扱う商材や店の形態によって、適正な営業時間を改めて検討すべきだと考えています。

 単に「営業時間を短縮する」という意味ではありません。自分たちの店への来店客数やその傾向を過去のデータから分析して、利益率の低い曜日は不定休にする、もしくは営業時間を変更して顧客の反応を見ることで、それぞれの店が開けるべき営業時間を探るのです。

 その際は、自店だけでなく他店の状況も重要です。例えばチェーン展開しているアパレルショップなら、〇〇店が休みでも近くの××店ならすぐに行ける、という場合もあるはずです。〇〇店と××店を同時に閉店しないことで、できるだけお客さまの機会損失を防ぎます。

 同じ平日の昼間でも、OL向けのショップなら平日の昼間は多くの対象者が働いているので来店客が少ないですが、専業主婦が多く来店するショップならその時間帯を閉めてしまうことは致命的になります。店の立地や商材によって、適正な営業時間が必ずあるはずです。

 24時間営業の印象が強いコンビニやスーパーマーケットでは営業時間の短縮が難しく感じられますが、地方ではコンビニでも24時間営業ではなかったりします。全ては難しいにしても、週7日ではなくても朝だけ空いている、逆に夜だけ空いている、という形態の店がもっと増えてもいいのではないかと思います。

 営業時間変更によって生じるであろう不動産賃貸料の問題については、次に述べます。