厚生労働省のデータによれば、平成26年時点で専業主婦世帯は687万世帯、1114万世帯が共働き世帯と発表されています。数値は昭和55年時点とほぼ逆転、女性の社会進出や雇用形態の変化、少子高齢化など複合的な要因で、共働き世帯の割合は今後も増加していくと推察されます。

 この連載では実際に共働きしている家族を料理・買物・生活という切り口で取り上げ、どんな日常を送っているのかショートエピソード形式で毎週お届けします。

第15話 毎晩終電帰りの夫・克哉の目線

 カレーを作っている翌日は、妻が遅くまで出掛ける合図。

 いつからか、そんなルールがわが家にはできた。夜、自分が出掛ける時には、僕の分の料理も必ず用意しておいてくれる。それは大抵カレーなどの鍋物で、理由は彼女の昼食も兼ねていることと、大量に作り込んでおけば保存食としてしばらく食べられるから。

 昔、実はこんなことがあった。

 妻の絵美から出掛ける直前になって「ごめんなさい、やっぱり今日はゴハン作れない!」と報告されたことがあった。聞けばフリーランスとして働く彼女は何時に終わるのかはっきりしない仕事を抱えていて、作れるか作れないかの瀬戸際でずっと迷っていたようだった。

「もし作るのが無理なら、事前にそう言ってほしい。君に気を遣われたくないんだ。それならそれで、僕は外で1人でラーメンでも食べてくるから」

 誤解がないように言っておくと、妻はサービス業経験者でもあり、とても気遣いができる人だ。夕飯も、「出来立てを食べるのが一番おいしいから」と、作ったものをベストタイミングで出してくれる。

 でも、僕は気を遣われるのが苦手だ。僕の食事が原因で彼女の都合を振り回してしまっては申し訳ないし、大の大人なのだから食事などどうとでもできる。

 気を遣う妻と、気を遣われたくない僕。2人の落としどころとして、「カレールール」は大変分かりやすく機能している。

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 絵美が丸1日出掛けた先週の休日、近所の男友達と3人でわが家に集合した。妻の居ぬ間に、という表現は適切ではないが、ここぞとばかりに高級な食材をしこたま買い込む。

 普段ならちょっと買うのに勇気がいる牛肉も、「えーいっ」と掛け声をかけて、半ばイベント化してカゴに入れていく。週末に絵美と行くスーパーマーケットでは、家計に響くような高級食材よりも何となく普段食べていないけど自分が好きなものをリクエストしてしまう。

 野郎同士のホームパーティーなら、野菜はなくとも肉。もう学生時代のように量は食べられないけれど、せめて質にはこだわりたい。

 普段は自分の用事よりも家族を優先する僕だが、たまに会う友達とのこうしたささいな遊びは良い気分転換になっている。

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 人手不足なチームで働いていることもあり、平日の帰宅は22時半を過ぎる。

「今から帰るよ」と連絡した返信LINEに「今日の晩ご飯は〇〇です」とメニューが書いてあると、自然と足取りが軽くなる。家で妻と今日あったことを話しながら食べるご飯が好きなので、外食や飲み会はあまりしない。

「おかえりなさい」

 パジャマ姿の絵美が出迎えてくれる。彼女は、いつも食事を作って僕が帰宅するまで待っていてくれる。

「先に食べていてもよかったのに」

「一緒に食べたかったから。それに、準備や洗い物を2回するのも面倒くさいし」

 自分はとっくに帰っているというのに、こんな時間まで待たせてしまって心が痛む。でも、2人で夕飯を一緒に食べられるのはうれしい。

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>第16話 フリーランスの妻・絵美の目線

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