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「世界の物流倉庫を2、3年で自動化する」

 10月9日、ユニクロを展開する(株)ファーストリテイリング(FR)が物流システム会社(株)ダイフクとの戦略提携を発表した記者会見の場で柳井正氏が語った言葉。

(参照)ユニクロ、物流でダイフクと戦略提携(2018年10月10日配信)

 同日、FRより発表されたリリースには“中長期的”“包括的”“戦略的”“パートナーシップ”の言葉が並ぶ。既にダイフクはFRの国内EC対応の有明倉庫の自動化におけるシステム開発・提供を行っているが、今回の提携では、さらに踏み込んで国内外の倉庫自動化に向けた設備・システムの開発、運用態勢構築に向けて両社の関係をより強固にしようというもの。

 FRの倉庫自動化を加速させるパートナーとなるダイフクとはどのような会社なのか。

 同社は1937年、起重機メーカーとして創業。57年、自動車工場向けシステムを手掛けて以降、製造工場向け自動倉庫など製造・物流拠点におけるマテハン(マテリアルハンドリング:工場内における原材料、部品、製品の運搬、管理の技術・方法)機器のサプライヤーとして現在に至っている。主なプロダクトは自動倉庫用のコンテナ用ラック、クレーン、コンベア、倉庫内搬送用の台車・レール、デジタルピッキングシステムなど。

 日系自動車メーカーの進出に伴い海外展開もいち早く進め、食品・流通の分野でも現地需要にも対応してきた。2009年には海外売上高が国内売上高を超えるまでになった。

 2018年3月期の売上高は4049億円(前年比126.2%)、営業利益399億円(同172.8%)。売上高、利益とも過去最高を記録している。米国のマテハン業界の専門誌(Modern Materials Handling)によると業界売上高では4年連続(2014~2017)で世界一となっている。

 受託先企業の工場・物流設備への投資サイクル、また7割近くを占めるまでになった海外売上高(18年3月期2724億円)のため円高による目減りなどのリスク要因はあるにせよ、今後、世界的に進む工場、流通現場での省力化、自動化への不可逆的な流れは同社の成長余地となるだろう。特にBtoC対応の物流センターでは梱包から出荷までに仕分け、ラベル貼付などの複数工程の手間が発生するだけに省力化の必要性は高い。

急増する小売業需要

 同社の売上構成比は、受注先業種で見るとエレクトロニクス35.9%(1455億円)が筆頭。商業・小売業は17.8%(721億円)と3番目。ただし、5年間(13年3月期374億円)でほぼ倍増となっている。また、受注高では19.2%(938億円)と2位に上がり、商業・小売業分野での需要が依然高まっていることがうかがえる。

 同社のHP上では100店舗を超えるスーパーマーケットチェーン数社での物流センター新設・改装時におけるコンベア、仕分けなどのシステム導入例が紹介されている。既に多店舗展開、多品種を取り扱うチェーンストアにとっては不可欠な存在といってよい。

 FRがダイフクと組んで進める倉庫内作業の自動化はこれらに紹介された企業事例からさらに発展させたものになるだろう。ポイントはFRがSPA(製造小売業)であり、ユニクロ、ジーユーとも扱い商品全てがプライベートブランド(PB)であること。

 PBには社名、商品名を冠するだけではなく、パッケージなどの包材、梱包形態、サイズ設定に至るまで自社仕様による設計だからこそ、一気通貫の流通効率化が可能となるからだ。既にユニクロ、ジーユーとも全商品にICタグを取り付けており、検品、在庫検索など店内での商品管理の効率化を進めている。実際、ジーユーではセルフレジ化が進んでおり、ユニクロでも店頭で買物をした際、プライスカードをスキャンすることなくレジに価格を表示している光景を目にした人は多いだろう。

 物流マテハンを最大活用するに際し、PBの存在が、自社ならではの商品をアピールするだけでなく、流通効率化のためのサプライチェーンにとっても不可欠であることを示す。