柳井正会長兼社長。

 ファーストリテイリングはサプライチェーン(商品供給の流れ)の抜本的な改革に乗り出す。1年以上前から企画・生産していた仕組みを根本から見直し、「素材の備蓄など事前の準備をしていれば10~20日間でお客に届けることも可能」(柳井正会長兼社長)と見て、リードタイムを短縮するとともに「無駄なものを作らない、運ばない、売らない」サプライチェーンを構築する。グローバルで事業展開する世界のトップ企業とパートナーシップを結び、RFID(無線自動識別)技術を活用するなどして実現する。

 同社はグループで世界の衣料品生産量の1.6%に当たる年間13億着の服を生産。このため現在は企画・計画から生産、物流、販売に至るまでに1年以上の時間がかかっている。

 また生産や倉庫への納入、保管、店舗への配送において商品や量、時期などの情報と数値が可視化されておらず、「どの商品がどのくらい、いつ生産されるのか、どの倉庫に届くのか、どの倉庫にあるのか、どの店舗に届くのか」などが分からず、SKU(最低在庫管理単位)管理が不十分で、結果的に「無駄なものを作り、運び、売る」サプライチェーンになっていた。

世界トップ企業と組み、全段階を改革

 今後は企画・計画から生産、物流、販売の各段階でグローバルで事業展開する世界のトップ企業とのパートナーシップとRFIDの活用でこれらを解決する。

 企画・計画段階では、例えば現在の取り組みでいえばグーグルの検索エンジンや人工知能を活用し、世の中の膨大な情報を収集。世界中の情報とアクセンチュアのアルゴリズム(問題を解く手順)を用いて、商品企画と販売数量の決定の精度を高める。

 生産段階では、東レとのパートナーシップによる取り組みや各生産工場との取り組みによって素材を備蓄し、生産工程を大幅に短縮。島精機製作所とのパートナーシップによりお客の要望に適した商品を作るとともにリードタイムも短縮するといった生産体制を構築する。

 物流段階では、低コストの生産国に倉庫を設け、商品を留め置いて、販売国にはその時点で販売に必要な商品のみを保管。先日提携したダイフクとのパートナーシップにより全世界で自動倉庫を導入して効率化。販売に必要な商品だけを保管して運ぶようにする。

 販売段階では、過剰在庫を削減し、品切れをなくし、値引きによる売り切りから脱却させる。

 さらに生産段階から商品にRFIDタグを付けて、物流、販売段階までSKU管理を連動して行うことで、サプライチェーンに関わる情報や数値を見える化し、どの商品がどこにどのくらいあるかを瞬時に正確に把握。在庫情報を各段階を越えて共有する。

 またグーグルのグループウエアであるGスイートなどを活用し、世界中の生産工場、倉庫、店舗、本部がダイレクトに切れ目なくつながり、世界の経営者と社員が垣根を越えてコミュニケーションし、即断、即決、実行できるようにする。

 柳井正会長兼社長は「企画・生産、物流、販売を通して全社のサプライチェーンを根本から変える。世界最高のパートナーとパートナーシップを組み、最新の情報と情報技術を活用し、全く新しい産業をつくり上げる」と語っている。