昨年の11月に業界初となる採寸用ボディスーツ(ZOZOスーツ)の無料配布を発表して、注目を浴びた株式会社ZOZO(旧社名 株式会社スタートトゥデイ)。最近ではイーロン・マスク氏が手掛ける宇宙旅行開発プロジェクトへの出資を決めたり、ぜいたくなプライベートだったりと日々、週刊誌並みに話題を提供している。今回は、予約数100万件を突破したといわれる話題の採寸用ボディスーツを実着してみて、実寸法との誤差がどのくらいあるのか。検証してみたいと思う。

誤差が大きかったとの声を耳にしたが……

 不思議なことに、ZOZOスーツの採寸誤差に関して株式会社ZOZOは一切触れていない。とにかく着用してもらって、より多くの人の個人計測データを収集することを目的としているためだろうから、ネガティブメッセージは発信しないのだろう。

 しかし、私のように何事もすぐに信じ込んでしまうタイプの人間には、ミリ単位の精度にこだわるという開発コンセプトに心踊らされた人も多かったのでは。そんな思いとは裏腹に、私の周りでは実際に着て測ってみたが、誤差が大きかったという声をよく耳にした。とにかく着てみないと分からないということで、お世辞にも見た目が格好良いとはいえない水玉模様の白い突起物がたくさん付いたZOZOスーツを実際に着てみた。

 

 説明書にもある通り、まずは専用アプリをダウンロードして起動、付属のスマホスタンドにスマホをセットして後は音声ガイダンスに従って、時計回りに9回ほど写真を撮って完了。すると上の写真のような採寸結果が表示されるのだ。表示画面デザインは立体的で格好良い、中年太りで醜いボディも3Dラインで見せられると1割増しくらいで良く見える。技術的な仔細は明かされていないが、どう考えても着圧素材で体にフィットさせた状態のマーカー(白い突起物)位置間を読み取って計測しているのだろう。しかし、問題はその精度だ。

もう1つ、別の会社でも実測定をしてみた

 今回、画像情報から得られる実測定技術を持った別の会社に無理をいって協力をお願いした。ビネット&クラリティは靴のパーソナルオーダーを展開しているベンチャー企業で、Shoe-craft-terminalという専用サイトを設けている。

 そこへ足型ができるなら、ボディも計測できるのではないかと画像連写による3Dを作成していただいた(下の写真)。こちらは専用スーツの着る必要はないものの、画像認識条件ではあるので、裸か体にフィットした商品を着用する必要がある。当初、動画でチャレンジしてみたものの、あまりうまくゆかず、結果として上方から20枚、下方から20枚と長さ基準のためのA4サイズ用紙を1枚床に置いて撮影した。

 

この結果をベースにPB注文して問題ないのか?

 

 この2つのやり方と実寸データを比較したのが、こちらの一覧表だ。ビネット&クラリティの方では被写体が動かないことが条件となるのだが、それはZOZOスーツでも同じことがいえるのではないか。しかし、この点についての説明もZOZOスーツにはない。名誉のために記しておくと、ビネット&クラリティの方は本業である足の計測についての精度は、ミリ単位で正確であったことを記しておく。しかし、体全体における計測では実用レベルとはいいにくい結果に終わった。

 ZOZOスーツについて話しを戻したい。今回、スーツの申し込みから待ちに待ってやっと届いた採寸スーツ。無料配布で受け取って、自分の採寸データを株式会社ZOZOへ提供してみたものの、誤差は想像以上だった。洋服業界において既製品のサイズスペックはメーカー、部位によっても異なるものの、大体2~3cmである。出来上がり商品の仕上がり寸法の誤差は当然、その範囲内に収なければならない。

 果たしてこれだけ不正確な測定結果をベースにPB商品を注文して問題はないのだろうか。先日、テレビの特集で前澤友作社長が「先行者利益」を口にしていたのが印象深かった。しかし、不正確なデータを集めることに利益はあるのだろうか。今回、株式会社ZOZOが取り組んだZOZOスーツ、PB開発も含め、本当に「巧遅は拙速に如かず」なのだろうか。いや、「勇み足」だった可能性について指摘しておきたい。