コンビニ業界の既存店ベースの来店客数が前年を割り続けている(2017年9月で19カ月連続)。消費者の最も近くにあり、単身世帯の増加、高齢社会の到来の中、彼らの生活を守るべき業態で、このようなことが起こっているのは、なぜか。コンビニの歴史を振り返りながらひも解いていく。

理由① 衰退期に入った

既存のビジネスモデルでは成り立たなくなった

 製品ライフサイクル理論でいうと、今のコンビニ業界は衰退期に入っているといえるだろう。

 日本にコンビニができて50年弱。1927年、アメリカ・テキサス州のサウスランド・アイス社(現在の7-Eleven,Inc.)の氷小売販売店が卵や牛乳、パンの販売も始めたのが最初といわれるコンビニ。日本では1970年前後にセブン-イレブンやローソン、ファミリーマート、セイコーマート、ココストアなどが1号店を開店。業態の成長期に急激に店舗数を伸ばし続け、成熟期に入っても「踊り場」などとはいわれても、大量出店する大手チェーンの好業績を受け、再成長を遂げているという見方が多かった。

 だが、状況を冷静に見れば、既に衰退期に入っていたといえるだろう。加盟店オーナーの応募者が減ったこと、他社・自社も含めた競合の激化で複数店経営をしないと事業が成り立たなくなったことなど、危険のシグナルはいくつも灯っていた。決定的だったのは、見切り販売をする加盟店が出たこと。廃棄ロス削減の自己防衛策は、定価販売をするコンビニのビジネスモデルの根幹を崩壊させることになったからだ。

 本部も無理に無理を重ねてきた。株式市場からの高評価を得るためにも大量出店を続け、既存店売上高も大きく伸ばし続ける必要があった。そのために日々、改善や革新を進め、取引先も含め、高くなり続けるハードルを越え続けてきた。

 販促面でも、既存店売上高の落ち込みが懸念されると、本部企画のセールを実施。その回数が増え続けた結果、年がら年中、セールを連発する状況になっている。

 コンビニの売上高を支えてきたたばこの売上げが下がり続ける中、レトルトパウチの惣菜や冷凍食品、日配品や調味料などのスーパーマーケット商材、いれたてコーヒーなどを品揃えに加えてきたが、次なる大型商材がなかなか見当たらない状況になっている。

 こうした厳しい競争に耐えられなくなったチェーンでは加盟店が売上げを落とし、本部が営業利益を減らし続ける状況を生んだ。その結果がコンビニ業界での救済の意味合いも含めた合併や資本提携につながっている。

理由② 同質化が進んだ

セブンに追いつけで戦略まで「金太郎飴」に

 日本のコンビニ業界では今、急速に寡占化が進んでいる。2004年9月にサークルKサンクスが誕生したころから小規模チェーンの倒産などが目立ち、寡占化が加速。ファミリーマートがココストアと合併したのに続き、16年9月のサークルKサンクスとの統合で、中規模・大規模チェーンまで巻き込んだ大手3社での寡占化が実現した。

 なぜ、コンビニ業界でここまで寡占化が進んだのか。小売業界でM&Aが活発なのは家電専門店やドラッグストア、ホームセンターだが、これらは品揃えの大半がナショナルブランド商品。価格で勝負をせざるを得なく、過当競争になるため、規模拡大で生き残ろうとする。これに対して、コンビニはプライベートブランド比率が高いにもかかわらず、寡占化のスピードが速い。その理由は、コンビニというビジネスモデルが確立されていたこと、セブン-イレブンが業界をリードし、他社がその追随をすることで同質化競争を続けてきたことに求められるだろう。

 コンビニ業界では21世紀に入ると株主の交代が起こり、ローソンは三菱商事に、ファミリーマートは伊藤忠グループが親会社になった。これにより、原材料調達まで踏み込んだ商品開発がよりしやすくなったが、それ以上に大きな変革をもたらしたのが、商社出身者を経営トップがさまざまな改革に取り組んだことだ。特にローソンの新浪剛史社長(当時)は、セブン-イレブンとは異なる独自路線を開拓。それが現在の「健康」をキーワードの1つにした事業展開につながっている。

 だが、難しいのは経営トップが変わると方向性がぶれることがある点だ。今の大手3社の売場を見ると、惣菜や冷凍食品の充実や中島ゴンドラの高さを上げて進めるスーパーマーケット商材の強化、いれたてコーヒーやドーナツなどまで取り組みが似通っている。これは衰退期に入ったコンビニが再び、同質化競争に向かっていることを意味する。